山本守之の
法人税 “一刀両断”
【第38回】
「法解釈の基礎を考える」
税理士 山本 守之
-はじめに-
租税法を解釈する場合、注意しなければならない2つの考え方があります。
1つ目は、私法と税法の考え方について「税法には税法の独自性がある。したがって、税法解釈はあくまで課税目的に従って判断するべきであり、課税目的に反する民事法上の考え方は否認してよい。」とする考え方です。
2つ目は「公法は私法上の権利義務の立場に立って存在するものであり、税法は民事法上の秩序の上に立って存在するので、税法解釈をその課税目的によって解釈することは許さるべきではない。」とする考え方です。
この2つの考え方は、国税通則法を制定する当初から存在していました。
また、租税法の中に包括的否認規定は存在して当然であるというもので、否認規定は具体的なものを明示すべきというものでした。
包括的否認規定は当初、「同族会社等の行為計算否認規定」(法132)だけでしたが、後日「組織再編成に係る行為計算否認規定」(法132の2)及び「連結納税に係る行為計算否認規定」(法132の3)が設けられました。
否認規定は適用に関して最終的な否認要件規定が必要でIBM事件では安易な否認が排除されましたが、後日否認要件を安易に定められた組織再編に関する否認規定(法132の3)を適用したヤフー事件では、その目的通りに課税されてしまいました。
本稿では、このような事件を法解釈のあり方から取り上げてみました。
Ⅰ 国税通則法制定時の考え方
1 国税通則法の考え方
現行の国税通則法は昭和37年4月2日に制定されたものです。この基礎となったものが、税制調査会から昭和36年7月5日に出された同法の制定に関する答申です。
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