〈小説〉
『所得課税第三部門にて。』
【第25話】
「保険契約の名義変更」
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
「それにしても統括官・・・大変でしたね。」
浅田調査官が出勤してきた中尾統括官に声をかける。
中尾統括官は、鞄を机に置きながら、苦笑する。
「いやぁ・・・本当に痛かった・・・」
顔をしかめながら、浅田調査官に答える。
中尾統括官は、お盆で、富山に帰省中、救急車に運ばれた。
原因は、「尿管結石」である。
「まだ、石は出てこないのですか?」
浅田調査官はニヤニヤしながら尋ねる。
「うん・・・あれから一週間経つけど、まだ石は出てこない・・・医者からは1ヶ月ほど様子を見てみようということで、それで駄目であれば、体外衝撃波砕石術(ESWL)又は・・・内視鏡治療を行うと言われているんだ・・・」
中尾統括官は、机の上に書類を重ねながら言う。
「・・・ところで、昨日、納税者から問い合わせがあったのですが・・・」
浅田調査官は急にメモ書き用紙をポケットから取り出して尋ねる。
「・・・同族会社の役員甲が退職することになって、これまで契約者を会社、被保険者を役員甲、死亡保険金受取人を会社とする終身保険に加入していたのですが、これを役員甲の退職金の一部として、現物支給(名義変更)するということなのです・・・」
浅田調査官は、一枚目のメモ書きを中尾統括官に見せる。
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