公開日: 2017/10/26 (掲載号:No.241)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第39回】「親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が自己株式の場合)」

筆者: 西田 友洋

【STEP2】被結合企業の株主における個別財務諸表上の会計処理

被結合企業(株式交換完全子会社)の株主は、株式交換により被結合企業株式を引き渡す代わりに、結合企業株式を受け取る。

株式が変わっただけで、株主の投資が精算されているわけではないため、投資が継続されていると考え、被結合企業株式の株式交換日直前の適正な帳簿価額に基づき、結合企業株式の取得価額を算定する(企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」43)。

【留意点】

被結合企業にとっては、株主が入れ替わるのみであるため、通常、会計処理は必要ない。ただし、完全子会社が発行している新株予約権等が結合企業に承継された場合、株式交換の効力発生日の前日に自己株式を保有している場合等においては、会計処理が必要となる。

  

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第39回】

「親会社が存在しない会社間における株式交換

(対価が自己株式の場合)」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が自己株式の場合)を解説する。また、株式交換前に株式の持ち合いはなく、かつ、株式交換後も結合企業(株式交換完全親会社)は、被結合企業(株式交換完全子会社)の元々の株主の子会社又は関連会社には該当しない場合を前提とする。なお、親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が自己株式の場合)に関する全ての論点を取り扱っているわけではない。

株式交換とは、株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社に取得させることをいう(会社法2条31項)。そして、親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が自己株式の場合)は企業結合の会計処理上、「取得」に該当する。

「取得」とは、共同支配企業の形成(※)又は共通支配下の取引(【第18回】参照)に該当しない企業結合をいう。「取得」の場合、「パーチェス法」で会計処理する(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準(以下、「基準」という)」17)。パーチェス法とは、被取得企業から受け入れる資産及び負債の取得原価を、原則として、対価として交付する現金及び株式等の時価とする会計処理をいう(企業会計基準適用指針第 10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(以下、「適用指針」という)」29)。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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