公開日: 2018/09/27 (掲載号:No.287)
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山本守之の法人税“一刀両断” 【第51回】「協同組合等の性質と税制の対応」

筆者: 山本 守之

山本守之

法人税 “一刀両断”

【第51回】

「協同組合等の性質と税制の対応」

 

税理士 山本 守之

 

1 普通法人、一般社団法人又は人格のない社団等の法人税率

(1) 法人税率(原則)

 資本金の額(出資金の額を含む)が1億円以下のもの(大法人(注1)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人及び完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部をその全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなる普通法人を除く)若しくは資本金を有しないもの(相互会社を除く)、一般社団法人等(注2)又は人格のない社団等

の法人については、法人税率は次のようになっています。

・年800万円以下の各事業年度の所得金額(注3)・・・19%

・年800万円を超える各事業年度の所得金額・・・23.2%

 以外の他の法人

の法人については、法人税率は次のようになっています。

・各事業年度の所得金額・・・23.2%

及びにおいて、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度にあっては、「23.2%」とあるのは「23.4%」となります。

なお、各事業年度の所得に対する法人税額を計算する場合に、課税標準に1,000円未満の端数があるときはその端数を、課税標準の金額が1,000円未満であるときは、その全額を切り捨てます(通則法118①)。

(注1) 「大法人」とは、次の法人をいいます。

① 資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人

② 相互会社又は外国相互会社

③ 法人課税信託の受託法人

(注2) 「一般社団法人等」とは、法人税法別表第二に掲げる一般社団法人及び一般財団法人並びに公益社団法人及び公益財団法人をいいます。

(注3) 年800万円以下の金額=800万円×当該事業年度の月数÷12

(2) 中小法人等の軽減税率の時限的引下げ

上記(1)の法人の平成24年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度の所得金額のうち年800万円以下の金額に対する軽減税率は15%とします。

 

2 公益法人等、協同組合等の法人税率

(1) 法人税率(原則)

公益法人等、協同組合等の法人税率は次のようになっています。

・各事業年度の所得金額・・・19%

なお、公益法人等には、一般社団法人等は含まれません。また、協同組合等のうち、特定の地区又は地域に係るもので、物品供給事業に係る収入金額の総収入金額に占める割合が50%超、組合員数が50万人以上、かつ、店舗において行われる物品供給事業に係る収入金額が1,000億円以上である事業年度にあっては、所得金額のうち10億円を超える部分に対する税率は22%となります。

(2) 軽減税率の時限的引下げ

公益法人等、協同組合等の平成24年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度の所得金額のうち年800万円以下の金額に対する軽減税率は15%となります。

上記のように法人の所得金額によって軽減される税率は異なりますが、これらは担税力の有無によって定められています。

しかし、各法人は担税力を配慮して税額で区分すればよいのでしょうか。法人の種類によって課税標準の計算手法を変えなければならないのではないでしょうか。

 

3 協同組合等が支出する災害見舞金等

現在の取扱通達では、協同組合等が支出する災害見舞金については、交際費等ではなく損金の額に算入することにしているため、課税しないことになっています。

農業協同組合にとっての組合員である農家、中小企業等協同組合にとっての組合員である中小企業は、いずれも一般消費者に該当しません。むしろ取引態様からみて、これらの組合員は協同組合等の得意先又は仕入先であるともいえます。

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山本守之

法人税 “一刀両断”

【第51回】

「協同組合等の性質と税制の対応」

 

税理士 山本 守之

 

1 普通法人、一般社団法人又は人格のない社団等の法人税率

(1) 法人税率(原則)

 資本金の額(出資金の額を含む)が1億円以下のもの(大法人(注1)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人及び完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部をその全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなる普通法人を除く)若しくは資本金を有しないもの(相互会社を除く)、一般社団法人等(注2)又は人格のない社団等

の法人については、法人税率は次のようになっています。

・年800万円以下の各事業年度の所得金額(注3)・・・19%

・年800万円を超える各事業年度の所得金額・・・23.2%

 以外の他の法人

の法人については、法人税率は次のようになっています。

・各事業年度の所得金額・・・23.2%

及びにおいて、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度にあっては、「23.2%」とあるのは「23.4%」となります。

なお、各事業年度の所得に対する法人税額を計算する場合に、課税標準に1,000円未満の端数があるときはその端数を、課税標準の金額が1,000円未満であるときは、その全額を切り捨てます(通則法118①)。

(注1) 「大法人」とは、次の法人をいいます。

① 資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人

② 相互会社又は外国相互会社

③ 法人課税信託の受託法人

(注2) 「一般社団法人等」とは、法人税法別表第二に掲げる一般社団法人及び一般財団法人並びに公益社団法人及び公益財団法人をいいます。

(注3) 年800万円以下の金額=800万円×当該事業年度の月数÷12

(2) 中小法人等の軽減税率の時限的引下げ

上記(1)の法人の平成24年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度の所得金額のうち年800万円以下の金額に対する軽減税率は15%とします。

 

2 公益法人等、協同組合等の法人税率

(1) 法人税率(原則)

公益法人等、協同組合等の法人税率は次のようになっています。

・各事業年度の所得金額・・・19%

なお、公益法人等には、一般社団法人等は含まれません。また、協同組合等のうち、特定の地区又は地域に係るもので、物品供給事業に係る収入金額の総収入金額に占める割合が50%超、組合員数が50万人以上、かつ、店舗において行われる物品供給事業に係る収入金額が1,000億円以上である事業年度にあっては、所得金額のうち10億円を超える部分に対する税率は22%となります。

(2) 軽減税率の時限的引下げ

公益法人等、協同組合等の平成24年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年度の所得金額のうち年800万円以下の金額に対する軽減税率は15%となります。

上記のように法人の所得金額によって軽減される税率は異なりますが、これらは担税力の有無によって定められています。

しかし、各法人は担税力を配慮して税額で区分すればよいのでしょうか。法人の種類によって課税標準の計算手法を変えなければならないのではないでしょうか。

 

3 協同組合等が支出する災害見舞金等

現在の取扱通達では、協同組合等が支出する災害見舞金については、交際費等ではなく損金の額に算入することにしているため、課税しないことになっています。

農業協同組合にとっての組合員である農家、中小企業等協同組合にとっての組合員である中小企業は、いずれも一般消費者に該当しません。むしろ取引態様からみて、これらの組合員は協同組合等の得意先又は仕入先であるともいえます。

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連載目次

山本守之の法人税“一刀両断”

筆者紹介

山本 守之

(やまもと・もりゆき)

税理士。現在、日本税務会計学会顧問、租税訴訟学会副会長(研究・提言担当)、税務会計研究学会理事、日本租税理論学会理事を務め、全国各地において講演活動を行うとともに、千葉商科大学大学院(政策研究科、博士課程)でプロジェクト・アドバイザー(専門分野の高度な学術研究、高度な実務経験を持つ有識者)として租税政策論の教鞭をとっている。研究のためOECD、EU、海外諸国の財務省、国税庁等を約30年にわたり歴訪。2020年11月29日、逝去。

【著書】
・『時事税談-人間の感性から税をみつめる』(清文社)
・『役員給与税制の問題点-規定・判例・執行面からの検討』(中央経済社)
・『検証 税法上の不確定概念 (新版)』(中央経済社)
・『裁決事例(全部取消)による役員給与・寄附金・交際費・貸倒れ・資本的支出と修繕費』(財経詳報社)
・『法人税申告の実務全書』監修(日本実業出版社)
・『法人税の理論と実務』(中央経済社)
・『体系法人税法』(税務経理協会)
・『税金力-時代とともに「税」を読む』(中央経済社)
・『租税法の基礎理論』(税務経理協会)
他、多数
 

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