公開日: 2018/12/06 (掲載号:No.297)
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「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第8回】

筆者: 西田 友洋

14 追加的な財又はサービスに対する顧客のオプション

(1) 追加的な財又はサービスに対する顧客のオプション

顧客との契約において、既存の契約(商品・製品の販売やサービスの提供)に加えて追加の財又はサービスを取得するオプションを顧客に付与する場合で、そのオプションが当該契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するときには、当該オプションは履行義務に該当する。

ここで、重要な権利を顧客に提供する場合とは、例えば、追加の財又はサービスを取得するオプションにより、顧客が属する地域や市場における通常の値引きの範囲を超える値引きを顧客に提供する場合をいう(適用指針48)。
例えば、ポイント制度、販売インセンティブ、顧客特典クレジット、契約更新オプション、将来の財又はサービスに対する値引き等が該当する(適用指針139)。

重要な権利を顧客に提供するオプションは履行義務であるため、取引価格を本体部分の履行義務(商品・製品の販売、サービスの提供)とオプションに配分(【STEP4】参照)し、その履行義務ごとに収益を認識する必要がある。

【補足】

通常の値引きを超える値引きを提供する場合、オプションに該当する。したがって、顧客が追加の財又はサービスを取得するオプションが、追加の財又はサービスの独立販売価格を反映する価格で取得する場合には、顧客に重要な権利を提供するものではない
この場合には、既存の契約の取引価格を追加の財又はサービスに対するオプションに配分せず、顧客が当該オプションを行使した時に、追加の財又はサービスについて、収益認識基準等に従って収益を認識する(適用指針49)。

① 独立販売価格

オプションへの取引価格の配分は、【STEP4】のとおり独立販売価格の比率で行う(【STEP4】参照、基準66)。しかし、追加の財又はサービスを取得するオプションの独立販売価格を直接観察できない場合には、オプションの行使時に顧客が得る値引きについて、以下の(ⅰ)及び(ⅱ)の要素を反映して、オプションの独立販売価格を見積る(適用指針50)。

(ⅰ) 顧客がオプションを行使しなくても通常受けられる値引き

(ⅱ) オプションが行使される可能性

(※) 行使される可能性の見積りは、毎期、変更する必要がないか検討する(設例22)。

【参考】

契約更新に係るオプション等、顧客が将来において財又はサービスを取得する重要な権利を有している場合で、顧客が将来取得する財又はサービスが契約当初の財又はサービスと類似し、かつ、当初の契約条件に従って提供される場合は、オプションの独立販売価格を見積らず、提供すると見込まれる財又はサービスと交換に受け取ると予想される対価を算定し、取引価格を配分することができる(適用指針51、下記【設例②】参照)。

② 収益の認識時期

追加の財又はサービスが移転する時あるいは消滅する時までは、オプションに配分した金額は、契約負債として収益を繰り延べる。そして、将来の財又はサービスが移転する時、あるいは追加の財又はサービスを取得するオプションが消滅する時に収益を認識する(適用指針48)。

したがって、従来、取引価格全額を収益として認識した上で、ポイント引当金を計上していたと考えられるが、収益認識基準等ではポイント部分に取引価格を配分することになる。また、ポイント引当金の計上においては、販売価格ベースで計上する場合又は企業が負担する原価ベースで計上する場合があると考えられるが、収益認識基準等では取引価格の配分(ポイント部分(契約負債)の計上)は独立販売価格で行う。

【ポイント制度における本人か代理人か】

ポイントが重要な権利の場合、ポイントは使用されるまで、収益は繰り延べられる。
そして、当該ポイントについて、ポイント発行企業で使用される場合は、「本人」に該当すると考えられるため、ポイント使用時に収益を総額で認識することが考えられる。
一方、当該ポイントがポイント発行企業以外で使用された場合、ポイント発行企業がそのポイントの使用について、「本人」か「代理人」のいずれに該当するかを検討する必要があると考えられる。

【無料で配られる値引券やポイント】

誰でも入手可能な無料で配られている値引券や無料で付与されるポイントについては、関連する既存の契約が存在しないため、重要な権利には該当しない。
そのため、当該値引券やポイントについては、引当金の計上を検討する必要があると考えられる。

【設例①】

当期に商品10個を1,000,000円で販売した。
顧客は、この取引によりポイントを10,000ポイント獲得した。ポイントは商品の購入で利用することができる。

顧客が将来、ポイントを利用する可能性は、95%であると見積った。そのため、ポイント10,000の独立販売価格は9,500(=10,000×95%)と見積った。

翌期に顧客がポイントの半分を使用した。翌期末における見積りの変更はない。

【収益認識基準等における会計処理】

① 当期(商品の販売時)

(※1) 1,000,000×(1,000,000÷(1,000,000+9,500))=990,589

(※2) 差額

② 翌期(ポイント使用時)

(※3) 9,411×50%=4,705

【従来の会計処理)】

① 当期(商品の販売時)

(※4) 10,000×95%=9,500

② 翌期(ポイント使用時)

(※5) 9,500×50%=4,750

【設例②】

当社は、X1年度の期首に製品Aの1年間のメンテナンス・サービス(@10,000)を100件締結した。顧客は、X1年度末に10,000追加で支払うことでメンテナンス・サービスを1年間更新できるオプション(X2年度のサービスに係るオプション)を有している。また、X2年度末に10,000さらに追加で支払うことで、もう1年間更新できるオプション(X3年度のサービスに係るオプション)も有している。

当該メンテナンス・サービスを締結しない顧客に対しては、X2年度は20,000、X3年度は25,000を請求するため、当該メンテナンス・サービスは顧客にとって重要な権利である。また、X1年度に顧客が支払う10,000のうち一部は、実質的には、X1年度よりも後に提供されるサービスに対する返金が不要な前払いである。

更新オプションは当初の契約と同じ条件で提供されるため、更新オプションの独立販売価格を見積らず、提供すると見込まれる財又はサービスと交換に受け取ると予想される対価を算定し、取引価格の配分を行う。

ここで、X1年度末に更新する顧客は95%(100×95%=95件)と見込んだ。X2年度末に更新する顧客は、80%(95件×80%=76件)と見込んだ。また、収益認識は、予想されるコストの総額に対して発生したコストの比率に基づくことが妥当であると判断した。予想されるコストは、X1年度からX2年度は@8,000で、X3年度は@9,000である。

① X1年度期首

(※1) @10,000×100=1,000,000

② X1年度期末

(※2) 総収益額:10,000×100件+10,000×95件+10,000×76件=2,710,000
   総コスト:8,000×100件+8,000×95件+9,000×76件=2,244,000
   2,710,000×(8,000×100件)÷2,244,000=966,132

(※3) @10,000×95=950,000

【設例③】

小売業である当社は、第三者であるY社が運営するポイント制度に参加している。当該ポイント制度に加入している顧客が、当社の店舗で商品を購入した場合、購入額1,000円につきY社ポイントが50ポイント付与され、自動でY社に報告される。その後、当社はY社に対し1ポイントにつき1円(50ポイント50円)を支払う。

顧客に対して付与されたY社ポイントは、当社だけでなく、Y社が運営するポイント制度に参加する企業において利用できる。また、それらの参加企業において商品を購入した場合に付与されたY社ポイントは、当然に当社でも利用できる。当社とY社との間に、上記以外の権利及び義務は発生しない。

当社の観点からは、Y社ポイントの付与は顧客に重要な権利を提供していないと判断した。Y社ポイントが顧客に対して付与される旨をY社に報告し、同時にY社ポイントに相当する代金をY社に対して支払う義務を有するのみであり、当社はY社ポイントを支配していないと判断した。

① 商品販売時

(※) 当社がY社に支払うポイント相当額

② 当社からY社への代金支払時

(2) 追加的な財又はサービスに対する顧客のオプション(従来との相違点等)

① 従来との相違点

[収益認識基準等]

顧客との契約において、既存の契約に加えて追加の財又はサービスを取得するオプションを顧客に付与する場合で、そのオプションが当該契約を締結しなければ顧客が受け取れない重要な権利を顧客に提供するときには、当該オプションは履行義務に該当する。この場合、取引価格を当該オプションに配分する必要がある。

取引価格を配分するために、オプションの独立販売価格を見積る必要がある。

収益の認識時期は、将来の財又はサービスが移転する時、あるいは追加の財又はサービスを取得するオプションが消滅する時である。

[従来]

追加的な財又はサービスに対する顧客のオプションに関する一般的な定めはない(意見募集51)。

ポイントについては、顧客への商品の販売時又はサービスの提供時にそれらの価格全額で収益を認識し、将来のポイントとの交換に要すると見込まれる金額を引当金として費用を計上する実務が多い(意見募集51)。

ポイント引当金の算定方法としては、販売価格を基礎として計算する方法と、企業が負担する原価を基礎として計算する方法があると考えられる(意見募集51)。

② 影響がある取引(例示)

  • 企業が顧客に財又はサービスを提供する際に、付随して追加的な財又はサービスに対するオプションを提供する取引が影響を受ける可能性がある(意見募集58)。
  • 例えば、商品の販売やサービスの提供に伴いポイントを付与する取引や契約更新オプション取引等が影響を受ける可能性がある。

③ 適用上の課題

  • オプションの履行義務の独立販売価格を見積るために、業務プロセスの新規追加が必要となる可能性がある。
  • 取引の都度、オプションの履行義務を識別して会計処理するのは困難なため、期末に一括で(決算時に)識別して会計処理することが実務的であると考えられる。
  • 収益認識基準等と従来で収益の認識時期が異なることにより、業績管理及び予算管理に影響が生じる可能性がある。この結果、人事評価にも影響する可能性がある。

④ 財務諸表への影響

  • オプションについて、収益認識基準等では、オプションに対応する収益が繰り延べられる。一方、従来では、収益は繰り延べず、ポイント引当金を計上していたため、収益の認識時期が異なる可能性がある(意見募集55)。
  • 従来において、販売価格をベースとしてポイント引当金を計算している場合、当該引当金の金額と収益認識基準等により繰り延べられる収益(契約負債)の金額は大きく相違しないと考えられる(意見募集56)。そのため、利益の金額に大きな影響はないと考えられる。
  • 一方、企業が負担する原価をベースとしてポイント引当金を計算している場合、収益認識基準等により繰り延べられる収益(契約負債)の金額との相違が大きくなる可能性がある。そのため、(本体の売上を計上した事業年度の)利益の金額に影響が生じる可能性がある(意見募集56)。

〔凡例〕

・ASBJ・・・企業会計基準委員会

・IASB・・・国際会計基準審議会

・FASB・・・米国財務会計基準審議会

・基準・・・企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準

・適用指針・・・企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針

・収益認識基準等・・・企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」

・設例・・・企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」設例

・対応・・・企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」等に対するコメント 5.主なコメントの概要とその対応

・意見募集・・・「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集

・工事基準・・・企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準

・工事指針・・・企業会計基準適用指針第18号「工事契約に関する会計基準の適用指針

・ソフトウェア実務報告・・・実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い

・リース基準・・・企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準

・遡及基準・・・企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

「収益認識に関する会計基準」及び

「収益認識に関する会計基準の適用指針」徹底解説

【第8回】

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

連載の目次はこちら

13 返品権付き販売

(1) 返品権付き販売

返品権付き販売とは、顧客との契約において、商品・製品(及び一部のサービス)の支配を顧客に移転するとともに、当該商品・製品(及び一部のサービス)を「返品して、以下の(ⅰ)から(ⅲ)を受ける権利」を顧客に付与する場合をいう(適用指針84)。

(ⅰ) 顧客が支払った対価の全額又は一部の返金

(ⅱ) 顧客が企業に対して負う又は負う予定の金額に適用できる値引き

(ⅲ) 別の商品・製品への交換

返品権付きの商品又は製品(及び返金条件付で提供される一部のサービス)の販売では、以下のからの会計処理を行う(適用指針85、86、87、88、105)。

 企業が権利を得ると見込む対価の額(下記の返品されると見込まれる商品・製品の対価を除く)で収益を認識する

企業が得ると見込む対価の額を算定する際には、【STEP3】取引価格の算定の定め(基準47~64)を適用する。

各決算日に、企業が権利を得ると見込む対価の額を見直し、認識した収益の額を変更する。

 返品されると見込まれる商品・製品の対価については、収益を認識せず、当該商品又は製品について受け取った又は受け取る額で返金負債を認識する。

各決算日に、返金負債の額を見直し、認識した収益の額を変更する。

 返金負債の決済時に顧客から商品・製品を回収する権利について資産を認識する。

当該資産の額は、商品・製品の従前の帳簿価額から予想される回収費用(当該商品・製品の価値の潜在的な下落の見積額を含む)を控除し、各決算日に当該控除した額を見直す。

返金負債の決済時に顧客から商品・製品を回収する権利として認識した資産は、返金負債と相殺表示してはならない。

なお、返品受入期間中に返品される商品・製品の受入れに備えるという約束は、返金を行う義務とは別の履行義務として処理しない(適用指針161)。

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連載目次

「収益認識に関する会計基準」及び
「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説

(全14回)

【第1回】(「収益認識に関する会計基準」等の概要)

⇒詳しい内容を表示

はじめに

1 「収益認識に関する会計基準」等の公表までの流れ

2 開発に当たっての基本的な方針

(1) 基本的な方針

(2) 連結財務諸表における開発の方針

(3) 個別財務諸表における開発の方針

3 連結財務諸表を作成している場合の「収益認識に関する会計基準」等の適用対象

4 「収益認識に関する会計基準」等の概要

(1) 収益認識基準等の適用範囲

(2) 収益認識基準等の構成

(3) 収益認識のための5つのステップ

(4) 適用時期

(5) 会計方針の取扱い

① 適用に関する留意事項

② 当期の決算状況の説明

【第2回】(【STEP1】契約の識別)

⇒詳しい内容を表示

5 【STEP1】契約の識別

(1) 識別要件の充足の有無(契約であるかどうかの検討)

(2) 契約の識別要件を満たさない場合の会計処理

(3-1) 契約の結合

(3-2) 契約の結合(代替的な取扱い)

① 複数の契約を結合しなくても良い場合

② 工事契約及び受注制作のソフトウェアのみ認められている取扱い

(3-3) 契約の結合における従来との相違点等

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

(4-1) 契約の変更

(4-2) 契約の変更における従来との相違点等

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

【第3回】(【STEP2】履行義務の識別) ★無料公開中★

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6 【STEP2】履行義務の識別

(1) 履行義務の識別

(2) 別個の財又はサービス

(3) 複数の約束が区分して識別できない場合

(4) 履行義務の識別(代替的な取扱い等)

① 重要性が乏しい場合

② 契約を履行するための活動

③ 支配獲得後の出荷及び配送活動

(5) 履行義務の識別(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

【第4回】(【STEP3】取引価格の算定)

⇒詳しい内容を表示

7 【STEP3】取引価格の算定

(1-1) 第三者のために回収する額

(1-2) 第三者のために回収する額(従来との相違点等)

① 従来の相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

(2-1) 変動対価

① 変動対価の識別

② 変動対価の見積り

③ 収益の著しい減額が発生しない可能性が非常に高い部分

④ 顧客から受け取った又は受け取る対価がある場合

(2-2) 変動対価(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

(3-1) 契約における重要な金融要素

① 金融要素の識別

② 金利相当分の影響の調整

(3-2) 契約における重要な金融要素(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響のある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

(4) 現金以外の対価

① 時価を合理的に見積ることができない場合

② 変動対価

(5-1) 顧客に支払われる対価

① 会計処理

(5-2) 顧客に支払われる対価(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響のある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

【第5回】(【STEP4】履行義務への取引価格の配分)

⇒詳しい内容を表示

8 【STEP4】履行義務への取引価格の配分

(1) 独立販売価格に基づく配分

① 直接観察可能かどうか

② 独立販売価格が直接観察可能な場合、

③ 独立販売価格が直接観察可能ではない場合

(2-1) 値引きの特定の履行義務への配分

(2-2) 独立販売価格に基づく配分・値引きの特定の履行義務への配分(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

(3) 変動対価の配分

(4) 取引価格の変動

① 変動対価の事後的な変動

② 事後的な契約変更

【第6回】(【STEP5】履行義務の充足による収益の認識)

⇒詳しい内容を表示

9 【STEP5】履行義務の充足による収益の認識

(1) 一定の期間にわたり充足する履行義務かどうか

① 企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受すること

② 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、資産が生じる又は資産の価値が増加し、当該資産が生じる又は当該資産の価値が増加するにつれて、顧客が当該資産を支配すること

③ 義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じ、かつ、義務の履行を完了した部分について対価を収受する強制力のある権利を有していること

(ⅰ) 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること

(ⅱ) 企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること

(2) 一定の期間にわたり充足する履行義務(進捗度の測定)

① アウトプット法の留意点

② インプット法の留意点

③ 進捗度を合理的に見積ることができない場合

(ⅰ) 原価回収基準

(ⅱ) 契約初期段階の会計処理

④ 進捗度の測定値の見直し

⑤ 代替的な取扱い

(ⅰ) 工事完成基準

(ⅱ) 船舶による運送サービス

(3) 一時点で充足される履行義務

① 資産に対する支配

② 代替的な取扱い

(4-1) 一定の期間にわたり充足される履行義務(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

(4-2) 一時点で充足される履行義務(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

【第7回】(個別論点総論、本人か代理人か、財又はサービスに対する保証)

⇒詳しい内容を表示

10 個別論点総論

11 本人か代理人か

(1) 本人か代理人か

① 本人か代理人かの判定

② 本人か代理人かの判定に当たっての具体的な指標

③ 本人か代理人かの判定のその他の留意点

④ 会計処理

(2) 本人か代理人かの判定における従来の相違点等

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

12 財又はサービスに対する保証

(1) 財又はサービスに対する保証

① 財又はサービスに対する保証に当該財又はサービスが合意された仕様に従っていると
いう保証に加えて、保証サービスが含まれているかどうかの判定

② 合意された仕様に従っているという保証のみである場合の会計処理

③ 保証サービスを含む場合の会計処理

(2) 財又はサービスに対する保証における従来との相違点等

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

【第8回】(返品権付き販売、追加的な財又はサービスに対する顧客のオプション)

⇒詳しい内容を表示

13 返品権付き販売

(1) 返品権付き販売

(2) 返品権付き販売(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

14 追加的な財又はサービスに対する顧客のオプション

(1) 追加的な財又はサービスに対する顧客のオプション

① 独立販売価格

② 収益の認識時期

(2) 追加的な財又はサービスに対する顧客のオプション(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

【第9回】(顧客により行使されない権利(非行使部分)、返金が不要な契約における取引開始日における顧客からの支払、ライセンスの供与)

⇒詳しい内容を表示

15 顧客により行使されない権利(非行使部分)

(1) 顧客により行使されない権利(非行使部分)

① 会計処理

(2) 顧客により行使されない権利(非行使部分)(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

16 返金が不要な契約における取引開始日における顧客からの支払

(1) 返金が不要な契約における取引開始日における顧客からの支払

① 顧客からの支払が約束した財又はサービスの移転を生じさせるものか、又は将来の財又はサービスの移転に対するものかどうかの判断

② 会計処理

(2) 返金が不要な契約における取引開始日における顧客からの支払(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

17 ライセンスの供与

(1) ライセンスの供与

① ライセンスの供与は他の財又はサービスと別個のものであるかの判断

② ライセンスを供与する約束が別個のものでない場合の会計処理

③ ライセンスを供与する約束が別個のものである場合の会計処理(総論)

④ ライセンスを供与する約束の会計処理

(ⅰ) アクセスする権利か使用する権利かの判定

(ⅱ) ライセンスを供与する約束の会計処理

(2) ライセンスの供与(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

【第10回】(買戻契約、有償支給取引、委託販売契約、請求済未出荷契約、工事損失引当金)

⇒詳しい内容を表示

18 買戻契約

(1) 買戻契約

① 先渡取引及びコールオプションの場合

② プット・オプションの場合

(ⅰ) 買戻価格と当初の販売価格の比較

(ⅱ) 買戻価格が当初の販売価格以上の場合

(ⅲ) 買戻価格が当初の販売価格より低い場合

(2) 買戻契約(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

19 有償支給取引

(1) 有償支給取引

① 支給品を買い戻す義務の有無の判断

② 企業が支給品を買い戻す義務を負っていない場合

③ 企業が支給品を買い戻す義務を負っている場合

(2) 有償支給取引(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

20 委託販売契約

(1) 委託販売契約

① 収益の認識時点

(2) 委託販売契約(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

21 請求済未出荷契約

(1) 請求済未出荷契約

① 収益の認識時点

② 残存履行義務

(2) 請求済未出荷契約(従来との相違点等)

① 従来との相違点

② 影響がある取引(例示)

③ 適用上の課題

④ 財務諸表への影響

22 工事損失引当金

(1) 工事損失引当金

(2) 工事損失引当金の表示(適用指針106)

(3) 従来との相違点

【第11回】(表示及び注記、会計基準の今後)

⇒詳しい内容を表示

23 表示及び注記

(1) 表示

① 貸借対照表項目

② 損益計算書項目

(2) 注記

(3) 会社計算規則の改正

① 収益認識に関する注記の改正

② その他の改正

③ 適用時期

(4) 財務諸表等規則の改正

① 収益認識に関する注記の改正

② その他の改正

③ 表示に関する金融庁の考え方

(ⅰ) 貸借対照表項目

(ⅱ) 損益計算書項目

④ 適用時期

24 会計基準の今後

① ASBJの今後の対応

② 業界団体の動向

【第12回】(税務(前半))

⇒詳しい内容を表示

25 税務

(1) 会計と法人税法の相違点

① 貸倒れ及び買戻し

② ポイント引当金

③ 返品調整引当金の廃止

【参考】返品調整引当金の経過措置

(ⅰ) 経過措置の概要

(ⅱ) 収益認識基準等との関係

(ⅲ) 経過措置後

④ 長期割賦販売等に係る延払基準の廃止

【参考】経過措置

(ⅰ) 対象法人

(ⅱ) 平成35年3月31日までに開始する事業年度

(ⅲ) 繰延割賦利益額の処理

【第13回】(税務(後半))

⇒詳しい内容を表示

(2) 消費税法

(3) 会計、法人税、消費税の差異の設例

① 自社ポイントの付与

② 契約における重要な金融要素

③ 割戻を見込む販売(変動対価)

④ 返金権付き販売

⑤ 商品券等

⑥ 消化仕入(本人か代理人か)

【第14回】(まとめ)

⇒詳しい内容を表示

26 まとめ

〇収益認識基準等を検討する際のチェック・リスト

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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法人税事例選集

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