法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例78】
「除染作業に関する業務のために委託先に支出した金員の損金性」
拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は、東北地方のとある県における第三の都市に本社を置き、産業廃棄物処理業を営むX株式会社(資本金5,000万円の3月決算法人)において総務部長を務めております。
ご承知の通り2011年の東日本大震災は、東北地方の太平洋側に多大な被害をもたらしました。特に津波による東京電力福島第一原子力発電所の被害は甚大で、近隣地域の放射能汚染への対応は喫緊の課題となりました。わが社も東北地方にある企業の端くれとして、地元再生への貢献を行いたい一心で、除染作業を受注すべく関係自治体を駆けずり回った結果、「汚染状況重点調査地域」の事業をいくつか請け負うこととなりました。
さて、この件に関し先日から所轄税務署の税務調査を受けておりますが、除染作業に関しノウハウのあるY社との業務委託契約に基づきわが社が支払っている支払手数料について、その損金性が問題となっております。すなわち、わが社はY社との間に業務委託契約があり、それに基づき除染作業で生じた廃棄物の処理に必要な圧縮袋をY社から調達したり、除染作業を安全に行うための様々なアドバイスを得ているのですが、税務署側は、そもそもY社との間で業務委託契約書が作成されていないためその内容が不明であり、また、Y社に臨場して反面調査を行ってみてもY社が実際に何を行っているのか分からないことから、重加算税の賦課対象となる架空の経費であると言わざるを得ないと吹っ掛けてきます。
実在する法人であり、かつ除染に関しノウハウのあるY社から様々な便宜を図ってもらったことへの対価の支払いについて、架空経費であるという課税庁の主張は荒唐無稽であると考えるのですが、税法上はどのように考えるべきなのでしょうか、教えてください。
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