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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例11】「関係会社への売上値引及び単価変更による売上の減額の寄附金該当性」

筆者:安部 和彦

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例11】

「関係会社への売上値引及び単価変更による売上の減額の寄附金該当性」

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は北関東のとある地方都市で建築資材の製造を行っている株式会社Aにおいて、10年ほど経理を担当しております。私の勤務するA社は、建築資材を総合的に取り扱っているB社の100%子会社で、B社からの注文により多品種小ロットの資材の生産を行い、それらを全てB社に販売しています。

A社はその親会社B社との間で、両社間の取引内容や方法等について覚書を取り交わしており、これまでそれに基づき取引が行われてきました。当該覚書によれば、B社がA社から購入する建設資材の価格は、原則として合理的な原価計算に基づき、両社が協議の上決定すること、及び発注量の大幅な増減、経済的事情の著しい変動が生じたときは、両社が協議の上で購入価格を決定する旨が定められています。

実際の取引価格の決定方法ですが、期中はとりあえず期首に暫定的に決定した「当初取引価格」により取引を行うものの、半年程度経過後において、その時点における実際原価に一定の上乗せ利益を加算した「期末決定価格」を決定していました。このような価格決定方法を採る理由は、両社間の取引は多品種少量の受注生産であり、固定費が約3割を占め、適切な原価計算を行うことが困難であることから、期首においては暫定価格とせざるを得ないためです。

親会社であるB社は、各年度の期末近くになると、A社を含む子会社や関連会社に対し、上記「期末決定価格」と「当初取引価格」との差額に基づき期末における値増・値引調整を決定し、その調整額(期末調整額)を通知していました。

上記に基づき、A社はB社に対する売上に関しては、実際に支払を受けた当初取引価格で計上し、また、期末決定価格の方が当初取引価格よりも低いことに伴い発生する期末調整額につき、売上値引によって経理し、売上計上額から減算処理しています。

ところが、今般受けた税務調査で、当社が売上値引と経理処理した金額について、子会社の利益を親会社に付け替えたものであり、寄附金に該当すると指摘されました。親会社が子会社の経営支援をする際に寄附金の問題が生じ得ることは理解しておりましたが、子会社が親会社に対して寄附をするなどということは理解しがたい主張であり、到底受け入れることはできません。そもそも、当社が親会社との間で行っている取引に関し生じる期末調整額は、実際原価に基づく合理的な原価計算の結果発生するものであり、本来あるべき公正な取引価格への修正と考えられるもので、寄附や贈与とは全くかけ離れた取引実務といえます。

本件についてどのように考えるのが税務上適切なのでしょうか、教えてください。


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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

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