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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例28】「従業員が窃取した棚卸資産の販売に関する損害賠償請求権と貸倒損失」

筆者:安部 和彦

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例28】

「従業員が窃取した棚卸資産の販売に関する損害賠償請求権と貸倒損失」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、首都圏近郊のある市に本社を置く事務機器販売会社A株式会社で総務部長をしております。わが社は企業向け事務機器を扱っているため、取引先は企業のみですが、扱う品目数は膨大であるため、在庫管理はすべてコンピュータで行っています。

現在の在庫管理システムが導入されたのはちょうど1年ほど前で、これは数年前に起こった従業員による在庫の横流し事件を契機に、旧システムの更新という形で行われたものでした。旧システムの下では、チェック体制の不備により、在庫管理を担当している者(法人経理には一切関与していない)が虚偽の入力をして商品を簿外とすることが可能であったため、その商品を個人的にインターネットオークションサイトに出品して販売することにより、懐を肥やすようなケースがあったのです。

その際、A社としては、従業員B(事件発覚後懲戒解雇)が行った、A社の有する棚卸資産を窃取し個人的にインターネットオークションサイトに出品して販売益を得る行為からは損害が生じており、当該損害につきA社はBに対し損害賠償請求権を有しているものと解しております。実際、A社はBに対し、先日、損害賠償請求訴訟を提起しており、現在も当該訴訟が継続中です。

ただし、Bはギャンブルで多額の借金を抱えており、その返済に困って当該窃取を行ったことから、仮にBに対する損害賠償請求権が認められたとしても、その回収は困難であると想定されます。

そのためA社は当該事件につき、Bに対する損害賠償請求権の全額が回収不能と判断して、その金額を全額損金算入しております。

ところが先日の税務調査で調査官は、Bがインターネットオークションサイトで得た収益をA社の法人税の申告上益金に算入していないのは、仮装隠蔽行為にあたるとして、重加算税を賦課すべき事案であると主張しました。Bは犯行が発覚することを隠すため、システム上は商品が廃棄等されたように工作しており、少なくともA社の法人税の申告時にはBの行為はA社の誰も把握しておりませんでした。そのため、A社はBの行為を隠蔽しようもないといえますので、重加算税の賦課は到底容認できるものではないと考えますが、いかがでしょうか。


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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

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