公開日: 2019/09/05 (掲載号:No.334)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例9】「減価償却資産の判定単位」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例9】

「減価償却資産の判定単位」

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私はある語学教室(株式会社)で英語部門を統括しております。私の勤務する語学教室では、近年、ICTを用いた語学教育に注力しており、特に受講生が多い英語部門では、タブレット端末を用いた双方向性の教育システムを導入しております。

昨年度もあるシステム会社の提案を受け、3教室分のタブレット端末計150台を一新しました。その際、それまで使用していたタブレット端末計150台は使用開始して2年も経過していませんでしたが、CPUや液晶画面の性能が新しい端末に劣るため、思い切って全台廃棄処分としました。

廃棄処分したタブレット端末計150台は、1台当たりソフトウェア込みで9万円でしたが、10万円未満であるため、経理と相談のうえ、わが社の法人税の申告においては、すべて少額減価償却資産に該当するものとして、取得年度において損金経理し、全額損金に算入しました。

ところが、先日受けた税務調査で、調査官から、「破棄したタブレット端末は業者から御社が提供する語学教育に特別にカスタマイズしたシステムの一翼を担うべく導入されたものであり、タブレット端末1台1台では御社の語学教育システムとして機能するものではない。したがって、タブレット端末は150台一括の減価償却資産としてとらえるべきものであり、1台当たりの単価が10万円未満であっても、少額減価償却資産に該当しないことから、取得年度において全額損金算入できるものではない」と指摘されました。

確かに、今回廃棄したタブレット端末も導入したタブレット端末も、本校における英語教育に特化したシステムにカスタマイズされたものでありますが、いずれも市販されているタブレット端末にソフトウェアをインストールして使用しているものであるため、タブレット端末1台1台で立派に機能するものといえます。そうであれば、少額減価償却資産であるか否かはタブレット端末1台単位で判定すべきと考えるのですが、いかがでしょうか。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例9】

「減価償却資産の判定単位」

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私はある語学教室(株式会社)で英語部門を統括しております。私の勤務する語学教室では、近年、ICTを用いた語学教育に注力しており、特に受講生が多い英語部門では、タブレット端末を用いた双方向性の教育システムを導入しております。

昨年度もあるシステム会社の提案を受け、3教室分のタブレット端末計150台を一新しました。その際、それまで使用していたタブレット端末計150台は使用開始して2年も経過していませんでしたが、CPUや液晶画面の性能が新しい端末に劣るため、思い切って全台廃棄処分としました。

廃棄処分したタブレット端末計150台は、1台当たりソフトウェア込みで9万円でしたが、10万円未満であるため、経理と相談のうえ、わが社の法人税の申告においては、すべて少額減価償却資産に該当するものとして、取得年度において損金経理し、全額損金に算入しました。

ところが、先日受けた税務調査で、調査官から、「破棄したタブレット端末は業者から御社が提供する語学教育に特別にカスタマイズしたシステムの一翼を担うべく導入されたものであり、タブレット端末1台1台では御社の語学教育システムとして機能するものではない。したがって、タブレット端末は150台一括の減価償却資産としてとらえるべきものであり、1台当たりの単価が10万円未満であっても、少額減価償却資産に該当しないことから、取得年度において全額損金算入できるものではない」と指摘されました。

確かに、今回廃棄したタブレット端末も導入したタブレット端末も、本校における英語教育に特化したシステムにカスタマイズされたものでありますが、いずれも市販されているタブレット端末にソフトウェアをインストールして使用しているものであるため、タブレット端末1台1台で立派に機能するものといえます。そうであれば、少額減価償却資産であるか否かはタブレット端末1台単位で判定すべきと考えるのですが、いかがでしょうか。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
国際医療福祉大学大学院教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。

【主要著書】
・『消費税 インボイス制度導入の実務』(清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ 消費税の判定誤りと実務対応』(清文社)
・『新版 医療・福祉施設における消費税の実務』(清文社)
・『【第三版】税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与実務Q&A』(清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税Q&A』(清文社)
・『Q&A 医療法人の事業承継ガイドブック』(清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(清文社)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(税務経理協会)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(税務経理協会)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(中央経済社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(清文社)

【主要論文】
・「わが国企業の海外事業展開とタックスヘイブン対策税制について」(『国際税務』2001年12月号)
・「タックスヘイブン対策税制の適用範囲-キャドバリー・シュウェップス事件の欧州裁判所判決等を手がかりにして-」『税務弘報』(2007年10月号)
など
            

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