公開日: 2021/08/05 (掲載号:No.430)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例32】「修繕費の損金計上のタイミングと仮装行為」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例32】

「修繕費の損金計上のタイミングと仮装行為」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、東北地方において農機具製造業を営む株式会社A(3月決算法人)において総務部長を務めております。東北地方は戦後一貫して米作や果樹栽培を中心とした農業が盛んな土地柄で、いわゆる専用機・作業機メーカーに分類されるわが社も、そのような東北地方で農業を営む農家を主たるターゲットに農機具を製造・販売してきました。

しかし、国内における農家数の減少を受け、農機具の出荷台数は近年概ね減少傾向にありますが、一方で、わが国の農機具はアジアでは高性能との評価を受けており、輸出金額は年々増加しております。

そのような厳しい販売環境の中、A社としても市場のニーズに合った新製品をタイムリーに投入することが生き残りの必須条件と考え、生産設備への新規投資を行うとともに、既存の設備のオーバーホールや修繕を積極的に行うことで、農機具の生産能力の維持・拡大を図っております。

ところが、先日来受けている税務調査で、既存設備のオーバーホールや修繕に関する支出が問題視されており、困惑しております。調査官によれば、わが社は既存設備のオーバーホールや修繕に関し、その施工を行ったB社の担当者と結託して、本来損金として計上すべき事業年度ではなく、その一期前の事業年度に行ったかのように偽装し、それとつじつまを合わせるように請求書の納品日を翌事業年度の日付となるよう記載させたのであるから、当該修繕費の損金計上は、通謀虚偽表示による仮装行為に該当すると言ってきました。

確かに、オーバーホールや修繕が完了したタイミングを前倒しで計上したかどうかについては、恐らく調査官の主張の方にやや分があるような気がしますが、取引先と通謀して請求書を仮装したと認定し、当該認定に基づいて重加算税の賦課を行うという言い分は受け入れ難く、およそ容認できるものではありません。修繕費の期ずれ及び仮装行為に基づく重加算税の賦課処分の妥当性につき、見解をお聞かせください。

〇 修繕費の計上のタイミング

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例32】

「修繕費の損金計上のタイミングと仮装行為」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、東北地方において農機具製造業を営む株式会社A(3月決算法人)において総務部長を務めております。東北地方は戦後一貫して米作や果樹栽培を中心とした農業が盛んな土地柄で、いわゆる専用機・作業機メーカーに分類されるわが社も、そのような東北地方で農業を営む農家を主たるターゲットに農機具を製造・販売してきました。

しかし、国内における農家数の減少を受け、農機具の出荷台数は近年概ね減少傾向にありますが、一方で、わが国の農機具はアジアでは高性能との評価を受けており、輸出金額は年々増加しております。

そのような厳しい販売環境の中、A社としても市場のニーズに合った新製品をタイムリーに投入することが生き残りの必須条件と考え、生産設備への新規投資を行うとともに、既存の設備のオーバーホールや修繕を積極的に行うことで、農機具の生産能力の維持・拡大を図っております。

ところが、先日来受けている税務調査で、既存設備のオーバーホールや修繕に関する支出が問題視されており、困惑しております。調査官によれば、わが社は既存設備のオーバーホールや修繕に関し、その施工を行ったB社の担当者と結託して、本来損金として計上すべき事業年度ではなく、その一期前の事業年度に行ったかのように偽装し、それとつじつまを合わせるように請求書の納品日を翌事業年度の日付となるよう記載させたのであるから、当該修繕費の損金計上は、通謀虚偽表示による仮装行為に該当すると言ってきました。

確かに、オーバーホールや修繕が完了したタイミングを前倒しで計上したかどうかについては、恐らく調査官の主張の方にやや分があるような気がしますが、取引先と通謀して請求書を仮装したと認定し、当該認定に基づいて重加算税の賦課を行うという言い分は受け入れ難く、およそ容認できるものではありません。修繕費の期ずれ及び仮装行為に基づく重加算税の賦課処分の妥当性につき、見解をお聞かせください。

〇 修繕費の計上のタイミング

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

● 法人税の損金経理要件をめぐる事例解説【事例1~40】

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

             

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