公開日: 2019/12/05 (掲載号:No.347)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例12】「返品調整引当金の意義とその廃止の経緯」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例12】

「返品調整引当金の意義とその廃止の経緯」

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は近畿地方のとある地方都市で、既製服の製造を行っている株式会社Aを経営しております。わが社の主たる取引先は全国各地の衣料専門店ですが、そこでの取引においては、得意先の求めに応じて商品を納入するものの、売り切りではなく、売れ残った商品は全品当社が引き取るというやり方を採っていました。これは商慣行であり、契約に基づくものではありません。

わが社の場合、これまで、得意先に商品を納入したときに売上げを計上し、売れ残った商品の返品を受けた際に販売した金額に返品数量を乗じた金額の費用を計上してきました。既製服は当たり外れが結構大きく、外れた場合、大量の返品を引き受けることを余儀なくされます。そのような場合、そもそも売上の計上金額が過大であったとさえ思えます。

しかし、ある会合で同業者に、当社のような取引形態を行っている法人は、法人税法上、返品調整引当金という耳慣れない名称の引当金を計上することができる旨教えられました。これにより、売上を計上したタイミングを実際に返品され費用を計上するタイミングとのずれが大幅に縮小されることとなりますので、わが社の正しい実力が財務諸表及び法人税の申告に反映されることとなります。

そこで、当社の顧問税理士に当該引当金について問い合わせてみたところ、平成30年度の税制改正で廃止されており、新たに適用を受けることはできないといわれました。ただし、改正前の法人税法の下では、わが社のケースについても適用の余地があったということなので、もっと早くこの引当金のことを知っておくべきだったと後悔しております。

そこで、今更ではありますが、返品調整引当金の内容と、廃止に至った経緯について教えてください。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例12】

「返品調整引当金の意義とその廃止の経緯」

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は近畿地方のとある地方都市で、既製服の製造を行っている株式会社Aを経営しております。わが社の主たる取引先は全国各地の衣料専門店ですが、そこでの取引においては、得意先の求めに応じて商品を納入するものの、売り切りではなく、売れ残った商品は全品当社が引き取るというやり方を採っていました。これは商慣行であり、契約に基づくものではありません。

わが社の場合、これまで、得意先に商品を納入したときに売上げを計上し、売れ残った商品の返品を受けた際に販売した金額に返品数量を乗じた金額の費用を計上してきました。既製服は当たり外れが結構大きく、外れた場合、大量の返品を引き受けることを余儀なくされます。そのような場合、そもそも売上の計上金額が過大であったとさえ思えます。

しかし、ある会合で同業者に、当社のような取引形態を行っている法人は、法人税法上、返品調整引当金という耳慣れない名称の引当金を計上することができる旨教えられました。これにより、売上を計上したタイミングを実際に返品され費用を計上するタイミングとのずれが大幅に縮小されることとなりますので、わが社の正しい実力が財務諸表及び法人税の申告に反映されることとなります。

そこで、当社の顧問税理士に当該引当金について問い合わせてみたところ、平成30年度の税制改正で廃止されており、新たに適用を受けることはできないといわれました。ただし、改正前の法人税法の下では、わが社のケースについても適用の余地があったということなので、もっと早くこの引当金のことを知っておくべきだったと後悔しております。

そこで、今更ではありますが、返品調整引当金の内容と、廃止に至った経緯について教えてください。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
国際医療福祉大学大学院教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。

【主要著書】
・『消費税 インボイス制度導入の実務』(清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ 消費税の判定誤りと実務対応』(清文社)
・『新版 医療・福祉施設における消費税の実務』(清文社)
・『【第三版】税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与実務Q&A』(清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税Q&A』(清文社)
・『Q&A 医療法人の事業承継ガイドブック』(清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(清文社)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(税務経理協会)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(税務経理協会)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(中央経済社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(清文社)

【主要論文】
・「わが国企業の海外事業展開とタックスヘイブン対策税制について」(『国際税務』2001年12月号)
・「タックスヘイブン対策税制の適用範囲-キャドバリー・シュウェップス事件の欧州裁判所判決等を手がかりにして-」『税務弘報』(2007年10月号)
など
            

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