公開日: 2022/08/04 (掲載号:No.480)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例43】「関係会社へ支払った追加傭車費の寄附金該当性」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例43】

「関係会社へ支払った追加傭車費の寄附金該当性」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、都内において運送業を営む株式会社X(3月決算法人)で経理部長を務めております。わが社は高度成長期に会社を設立して以来、自動車部品等の工業製品のほか、法人契約の引越業務等に関し、50年に渡り地道に業務を拡大してきており、現在ではお陰様で営業エリアは関東一円をカバーし、支店網も20店舗以上展開してきているところです。

しかしながら、今年で3年目となるコロナ禍の影響の下で、特に初年度は当社の取引先は軒並み操業停止に追い込まれ、貨物需要が大幅に落ち込みました。このままどうなるのかと大いに心配しておりましたが、お陰様で翌年度はその反動で多くの業種で業績が回復し、貨物需要もコロナ禍前の水準まで持ち直すこととなりました。コロナ初年度はわが社の業績が落ち込み、リストラが不可避となったため、やむを得ず従業員の早期退職を募ることにより危機を乗り切りましたが、翌年度は前年度の反動で、リストラ後の事業体制ではさばききれないほどの業務が舞い込んできたため、わが社の代表取締役が役員(代表権を有する)を務めるY株式会社(3月決算法人)からドライバーを派遣してもらうことで、何とか顧客の要請に応えることができました。コロナ3年目である今年度は、新規のドライバーを雇用して体制の充実に努めていますが、底堅い貨物需要に応じるためにはそれだけでは足りないため、昨年度から引き続きY社からのドライバー派遣に頼っているところです。

ところが、先日来受けている税務調査において、調査官から、わが社からY社に対して支払われている傭車費は、その算定基準が不明確であり、特に決算月である3月に多額の一時金が支払われているが、これはY社がギリギリ黒字にならない程度の水準となるよう調整した金額となっており、対価性が不明で恣意性が強い金銭の支払いであることから、寄附金である旨指摘されました。実際は、上記で説明したとおり、当社において賄えない顧客からの要請に応えるため、Y社からドライバーを派遣してもらった分に対する支払いであるから対価性はあり、年度末に支払いが偏ったのは、Y社からの情報提供が遅延したためであって、何ら他意はないところです。したがって、課税庁の指摘は不当と考えますが、税法に照らせばどのように考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例43】

「関係会社へ支払った追加傭車費の寄附金該当性」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、都内において運送業を営む株式会社X(3月決算法人)で経理部長を務めております。わが社は高度成長期に会社を設立して以来、自動車部品等の工業製品のほか、法人契約の引越業務等に関し、50年に渡り地道に業務を拡大してきており、現在ではお陰様で営業エリアは関東一円をカバーし、支店網も20店舗以上展開してきているところです。

しかしながら、今年で3年目となるコロナ禍の影響の下で、特に初年度は当社の取引先は軒並み操業停止に追い込まれ、貨物需要が大幅に落ち込みました。このままどうなるのかと大いに心配しておりましたが、お陰様で翌年度はその反動で多くの業種で業績が回復し、貨物需要もコロナ禍前の水準まで持ち直すこととなりました。コロナ初年度はわが社の業績が落ち込み、リストラが不可避となったため、やむを得ず従業員の早期退職を募ることにより危機を乗り切りましたが、翌年度は前年度の反動で、リストラ後の事業体制ではさばききれないほどの業務が舞い込んできたため、わが社の代表取締役が役員(代表権を有する)を務めるY株式会社(3月決算法人)からドライバーを派遣してもらうことで、何とか顧客の要請に応えることができました。コロナ3年目である今年度は、新規のドライバーを雇用して体制の充実に努めていますが、底堅い貨物需要に応じるためにはそれだけでは足りないため、昨年度から引き続きY社からのドライバー派遣に頼っているところです。

ところが、先日来受けている税務調査において、調査官から、わが社からY社に対して支払われている傭車費は、その算定基準が不明確であり、特に決算月である3月に多額の一時金が支払われているが、これはY社がギリギリ黒字にならない程度の水準となるよう調整した金額となっており、対価性が不明で恣意性が強い金銭の支払いであることから、寄附金である旨指摘されました。実際は、上記で説明したとおり、当社において賄えない顧客からの要請に応えるため、Y社からドライバーを派遣してもらった分に対する支払いであるから対価性はあり、年度末に支払いが偏ったのは、Y社からの情報提供が遅延したためであって、何ら他意はないところです。したがって、課税庁の指摘は不当と考えますが、税法に照らせばどのように考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
国際医療福祉大学大学院教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。

【主要著書】
・『消費税 インボイス制度導入の実務』(清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ 消費税の判定誤りと実務対応』(清文社)
・『新版 医療・福祉施設における消費税の実務』(清文社)
・『【第三版】税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与実務Q&A』(清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税Q&A』(清文社)
・『Q&A 医療法人の事業承継ガイドブック』(清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(清文社)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(税務経理協会)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(税務経理協会)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(中央経済社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(清文社)

【主要論文】
・「わが国企業の海外事業展開とタックスヘイブン対策税制について」(『国際税務』2001年12月号)
・「タックスヘイブン対策税制の適用範囲-キャドバリー・シュウェップス事件の欧州裁判所判決等を手がかりにして-」『税務弘報』(2007年10月号)
など
            

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