公開日: 2023/02/02 (掲載号:No.505)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例49】「販売用土地の評価換えに伴う評価損の損金性」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例49】

「販売用土地の評価換えに伴う評価損の損金性」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、南関東を主な営業エリアとし不動産販売業を営む株式会社X(資本金9,000万円)において財務部長を務めております。わが社は高度成長期に現社長のお父様が創業したのですが、わが社のこれまでの業績の浮沈は、まさにわが国経済と共にあったと言っても過言ではないところです。

わが社の業績が最も好調だったのは、昭和末期のバブル経済期であり、その時期は末端の社員であっても年に4回もボーナスが出たようです。私が入社したのは平成元年で、ちょうどその頃、わが国はバブル経済の絶頂期を迎え、株価や地価は異常なまでに高騰しました。私もその当時、平社員だったにもかかわらず、その熱狂のさなかで次から次へと高額な不動産売買の仲介に携わり、封筒が立つほどの現金のボーナスをもらって有頂天になっていたことを思い出します。

しかし、まもなくバブル経済は崩壊し、地価も株価も真っ逆さまに下降して、多くの日本人がその激動に翻弄されたものでした。わが社も昭和の末期から平成の初頭にかけて大量の不動産を仕入れていましたが、ほどなくして多額の含み損を抱えることとなり、やむなくその多くを損切り覚悟で販売することを余儀なくされました。また、多額の含み損を抱えたまま販売できない不動産については、止むを得ず評価換えにより損失を計上せざるを得ない状況となりました。

そのような中、先日受けた税務調査で調査官から、わが社が行った販売用土地(棚卸資産)の評価換えに伴う評価損の損金計上が、法人税法に違反するとして是正が求められました。私は入社以来30年間不動産営業一本やりで、経理や財務には明るくないのですが、職務上調査官に反論することが求められております。

ところで、そもそも論として、法人税法における資産の評価損の計上の是非が分からないのですが、その観点から言うと、調査官の主張には根拠があるのでしょうか、教えてください。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例49】

「販売用土地の評価換えに伴う評価損の損金性」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、南関東を主な営業エリアとし不動産販売業を営む株式会社X(資本金9,000万円)において財務部長を務めております。わが社は高度成長期に現社長のお父様が創業したのですが、わが社のこれまでの業績の浮沈は、まさにわが国経済と共にあったと言っても過言ではないところです。

わが社の業績が最も好調だったのは、昭和末期のバブル経済期であり、その時期は末端の社員であっても年に4回もボーナスが出たようです。私が入社したのは平成元年で、ちょうどその頃、わが国はバブル経済の絶頂期を迎え、株価や地価は異常なまでに高騰しました。私もその当時、平社員だったにもかかわらず、その熱狂のさなかで次から次へと高額な不動産売買の仲介に携わり、封筒が立つほどの現金のボーナスをもらって有頂天になっていたことを思い出します。

しかし、まもなくバブル経済は崩壊し、地価も株価も真っ逆さまに下降して、多くの日本人がその激動に翻弄されたものでした。わが社も昭和の末期から平成の初頭にかけて大量の不動産を仕入れていましたが、ほどなくして多額の含み損を抱えることとなり、やむなくその多くを損切り覚悟で販売することを余儀なくされました。また、多額の含み損を抱えたまま販売できない不動産については、止むを得ず評価換えにより損失を計上せざるを得ない状況となりました。

そのような中、先日受けた税務調査で調査官から、わが社が行った販売用土地(棚卸資産)の評価換えに伴う評価損の損金計上が、法人税法に違反するとして是正が求められました。私は入社以来30年間不動産営業一本やりで、経理や財務には明るくないのですが、職務上調査官に反論することが求められております。

ところで、そもそも論として、法人税法における資産の評価損の計上の是非が分からないのですが、その観点から言うと、調査官の主張には根拠があるのでしょうか、教えてください。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
国際医療福祉大学大学院教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。

【主要著書】
・『消費税 インボイス制度導入の実務』(清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ 消費税の判定誤りと実務対応』(清文社)
・『新版 医療・福祉施設における消費税の実務』(清文社)
・『【第三版】税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与実務Q&A』(清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税Q&A』(清文社)
・『Q&A 医療法人の事業承継ガイドブック』(清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(清文社)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(税務経理協会)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(税務経理協会)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(中央経済社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(清文社)

【主要論文】
・「わが国企業の海外事業展開とタックスヘイブン対策税制について」(『国際税務』2001年12月号)
・「タックスヘイブン対策税制の適用範囲-キャドバリー・シュウェップス事件の欧州裁判所判決等を手がかりにして-」『税務弘報』(2007年10月号)
など
            

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