公開日: 2025/04/17 (掲載号:No.615)
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日本の企業税制 【第138回】「ガソリンの暫定税率をめぐる三党協議の行方」

筆者: 魚住 康博

日本企業税制

【第138回】

「ガソリンの暫定税率をめぐる三党協議の行方」

 

一般社団法人日本経済団体連合会
経済基盤本部副本部長 魚住 康博

 

〇経緯

国会における「所得税法等の一部を改正する法律案」の審議が終盤に差し掛かった令和7年3月27日、自由民主党、公明党、日本維新の会による「ガソリンの暫定税率」に関する三党協議が開始された。

元々、令和7年度税制改正の議論が行われていた昨年12月、自由民主党、公明党、国民民主党の間で三党税調協議が進められ、12月11日には自公国幹事長同士による合意文書が作成されていた。そこでは、「いわゆる『ガソリンの暫定税率』は、廃止する」と明記されるとともに、「具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める」ことで合意に至っている。

ここでは、いわゆる「103万円の壁」の問題については令和8年から引き上げる旨が明記された一方で、「ガソリンの暫定税率」の廃止時期については記載されず、与党の令和7年度税制改正大綱では合意文書の引用に続いて、「自由民主党・公明党としては、引き続き、真摯に協議を行っていく」と記載された上で、自動車関係諸税の見直しについては、車体課税・燃料課税を含む総合的な観点から検討し、産業の成長と財政健全化の好循環の形成につなげていく旨とともに、車体課税については令和8年度税制改正において結論を得ることとされていた。

【自由民主党・公明党・国民民主党の幹事長合意文書(2024年12月11日署名)

一、いわゆる「103万円の壁」は、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる。

一、いわゆる「ガソリンの暫定税率」は、廃止する。

上記の各項目の具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める。

 

〇自公国三党税調協議の再開

このように、「103万円の壁」と「ガソリンの暫定税率」の両論点ともに幹事長合意以上の具体策までは自公国の三党税調で年内合意に至らず、年明けに議論が持ち越されていた。令和7年2月4日には、第217回国会の閣法第1号議案として、与党税制改正大綱を踏まえた「所得税法等の一部を改正する法律案」が衆議院に提出され、税制改正法案と予算の年度内成立を目指す与党は野党の協力を得るために、2月18日から自公国の三党税調協議を再開した。

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日本企業税制

【第138回】

「ガソリンの暫定税率をめぐる三党協議の行方」

 

一般社団法人日本経済団体連合会
経済基盤本部副本部長 魚住 康博

 

〇経緯

国会における「所得税法等の一部を改正する法律案」の審議が終盤に差し掛かった令和7年3月27日、自由民主党、公明党、日本維新の会による「ガソリンの暫定税率」に関する三党協議が開始された。

元々、令和7年度税制改正の議論が行われていた昨年12月、自由民主党、公明党、国民民主党の間で三党税調協議が進められ、12月11日には自公国幹事長同士による合意文書が作成されていた。そこでは、「いわゆる『ガソリンの暫定税率』は、廃止する」と明記されるとともに、「具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める」ことで合意に至っている。

ここでは、いわゆる「103万円の壁」の問題については令和8年から引き上げる旨が明記された一方で、「ガソリンの暫定税率」の廃止時期については記載されず、与党の令和7年度税制改正大綱では合意文書の引用に続いて、「自由民主党・公明党としては、引き続き、真摯に協議を行っていく」と記載された上で、自動車関係諸税の見直しについては、車体課税・燃料課税を含む総合的な観点から検討し、産業の成長と財政健全化の好循環の形成につなげていく旨とともに、車体課税については令和8年度税制改正において結論を得ることとされていた。

【自由民主党・公明党・国民民主党の幹事長合意文書(2024年12月11日署名)

一、いわゆる「103万円の壁」は、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる。

一、いわゆる「ガソリンの暫定税率」は、廃止する。

上記の各項目の具体的な実施方法等については、引き続き関係者間で誠実に協議を進める。

 

〇自公国三党税調協議の再開

このように、「103万円の壁」と「ガソリンの暫定税率」の両論点ともに幹事長合意以上の具体策までは自公国の三党税調で年内合意に至らず、年明けに議論が持ち越されていた。令和7年2月4日には、第217回国会の閣法第1号議案として、与党税制改正大綱を踏まえた「所得税法等の一部を改正する法律案」が衆議院に提出され、税制改正法案と予算の年度内成立を目指す与党は野党の協力を得るために、2月18日から自公国の三党税調協議を再開した。

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連載目次

日本の企業税制

▷2025年
▷2024年

筆者紹介

魚住 康博

(うおずみ・やすひろ)

一般社団法人日本経済団体連合会経済基盤本部副本部長
米国公認会計士

1998年東京大学経済学部卒業。同年(社)経済団体連合会(現:日本経済団体連合会)に入局し、会計基準の整備や基準設定主体の設立、税制改正等を担当。2005年~2007年海外留学(オックスフォード大学経営学修士、ハーバード大学研究員)。2007年~経団連会長秘書。2010年~産業競争力強化等の国内政策を担当。2013年~国際協力本部主幹としてASEAN及び中南米の途上国・新興国を担当。2018年~2022年に米国事務所長としてワシントンD.C.に駐在。2022年~産業技術本部上席主幹、2023年~同本部統括主幹としてスタートアップ振興やバイオ、宇宙、防衛、科学技術・イノベーション政策等を担当。2024年5月より経済基盤本部統括主幹として税制改正や会計・開示制度整備に従事。2025年4月より現職。

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