日本の企業税制
【第17回】
「BEPS行動6(租税条約の濫用防止)の動向」
一般社団法人日本経済団体連合会
常務理事 阿部 泰久
1 はじめに
2 これまでの経緯
3 特典制限規定(Limitation on Benefit:LOB)
4 主要目的テスト(Principal Purpose Test:PPT)
5 おわりに
1 はじめに
第三国の居住者が不当に租税条約の特典を得ようとする行為(トリーティ・ショッピング=条約漁り)をはじめとした租税条約の濫用は、BEPS=税源浸食と利益移転の最も重要な原因の一つとされている。
BEPS行動6=租税条約濫用の防止では、租税条約締約国でない第三国の個人・法人等が不当に条約の特典を享受することを防止するためのモデル租税条約規定及び国内法に関する勧告を策定することとされており、本年9月に最終勧告及びモデル租税条約の改定が予定されている。
そこで本稿では、議論がヤマ場となっている行動6=租税条約濫用の防止を取り上げ、その概要をみていきたい。
2 これまでの経緯
行動6では、
① 条約特典の不適切な付与を防止するためのモデル条約の規定及び国内法の設計の策定
② 租税条約は二重非課税を生じさせることを意図するものではないことの明確化
③ 各国が租税条約を締結する際に政策的に考慮すべき要素の提示
昨年3月14日に「不適切な状況における租税条約の特典付与の防止」と題する公開討議草案が提示され、パブリック・コメント、公開コンサルテーションを経て、昨年年9月16日、OECD租税委員会より第1次報告書が公表されている。
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