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日本の企業税制 【第42回】「政府による電子申告推進の取組み」-電子申告の義務化実現と法人の利用率100%を目標に-

筆者:小畑 良晴

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日本企業税制

【第42回】

「政府による電子申告推進の取組み」

-電子申告の義務化実現と法人の利用率100%を目標に-

 

一般社団法人日本経済団体連合会
経済基盤本部長 小畑 良晴

 

3月29日に、政府の規制改革推進会議(議長:大田弘子政策研究大学院大学教授)は、その傘下の行政手続部会(部会長:髙橋滋法政大学法学部教授)の取りまとめ「行政手続コストの削減に向けて」の報告を受け、行政手続コスト削減を巡る議論を行った。

会議に出席した安倍首相は議論を踏まえ、次のように述べた。

東京オリンピック・パラリンピックを開催する2020年までに、営業の許認可など事業者負担の重い分野について、行政手続コストの20%以上の削減を目指します。

そしてまた、全ての分野について、まず行政手続を電子手続のみで完結できるようにすること。2番目に、同じ情報は一度だけ提出すれば済むこと。そして3番目に、書式・様式は統一されたものを使うこと、という3つの原則を徹底するよう、しっかりと指示いたします。

各省庁に対しては、本年6月までに削減計画を策定し、公表することを指示いたします。規制改革推進会議の公開プロセスにおいてレビューを行い、進捗を管理します。

加えて、地方公共団体の手続についても、同じ趣旨の手続であっても自治体ごとに書式・様式が異なり、多くの作業時間がかかる場合があるといった実態があります。地方公共団体においても、国の取組と連携して改善するよう協力を要請します。

こうした取組を通じ、我が国で活動する企業の生産性向上と働き方改革を、強力に後押ししてまいります。

上記報告書では、削減目標を設定して計画的な取り組みを推進するべき「重点項目」として9項目を設定しているが、そのうちの2つが、国税と地方税である。

9つの重点項目については、削減目標として、事業者の作業時間ベースで、20%削減を設定した。また、取組期間は3年をめどとし、場合によっては5年まで許容される。

上記の安倍首相の指示にあるように、重点分野については、各省庁が本年6月末までに基本計画を策定し、7月以降、行政手続部会がその基本計画について幅広く点検をし、必要な改善を求め、各省が平成30年3月までに基本計画を改定するというプロセスを予定している。

なお、国税及び地方税については、税務訴訟における立証責任が、通常、課税当局側にあるとされていること、消費税軽減税率制度・インボイス制度の実施、国際的租税回避への対応等に伴い、今後、事業者の事務負担の大幅な増加が不可避であることを考慮し、上記の一律の削減目標ではなく、次のような目標が設定されている。

国税

 電子申告の義務化が実現されることを前提として、大法人の法人税・消費税の申告について、電子申告(e‐Tax)の利用率100%。

 中小法人の法人税・消費税の申告について、電子申告(e‐Tax)の利用率85%以上。なお、将来的に電子申告の義務化が実現されることを前提として、電子申告(e‐Tax)の利用率100%。

地方税

 電子申告の義務化が実現されることを前提として、大法人の法人住民税・法人事業税の申告について、電子申告(eLTAX)の利用率100%。

 中小法人の法人住民税・法人事業税の申告について、電子申告(eLTAX)の利用率70%以上。なお、将来的に電子申告の義務化が実現されることを前提として、電子申告(eLTAX)の利用率100%。

平成27年度において法人税申告の75.4%が電子申告(e‐Tax)によって行われているが、このうち大規模法人の利用率は52.1%にとどまっている。また地方法人2税(住民税・事業税)の電子申告(eLTAX)については、ようやく平成27年4月に全ての地方団体が接続したという状況もあり、利用率は56.1%である。今回の数値目標は、納税実務に大きなインパクトをもたらすものといえよう。

すでに、政府税制調査会でも、本年1月27日の第9回総会で、4月下旬~5月上旬頃にかけて、委員の海外派遣を実施することを決めたが、その趣旨は、経済活動のICT化や多様化を踏まえ、税務手続の利便性向上及び適正公平な課税の実現に向けた検討のため、諸外国における取組みを参考とする必要があることから、各国の納税実務に係る諸制度やその実際の運用について調査を行うというものであり、今回の規制改革推進会議の取組みと方向性は一致しているものと見られる。

(了)

「日本の企業税制」は、毎月第3週に掲載されます。

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筆者紹介

  • 小畑 良晴

    (おばた・よしはる)

    一般社団法人 日本経済団体連合会 経済基盤本部長

    1965年生まれ。1990年東京大学法学部卒業。同年(社)経済団体連合会(現 日本経済団体連合会)事務局入局。
    2006年経済法制グループ長 兼 税制・会計グループ副長、2009年経済基盤本部主幹、2015年より現職。
    税制、経済法規、金融・資本市場などの各委員会を担当。

    【著書】
    ・『改正会社法対応版 会社法関係法務省令 逐条実務詳解』共著(清文社)
    ・『税制改正の要点解説』共著(清文社)
    他多数

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