日本の企業税制
【第36回】
「いわゆる『103万円の壁』の引上げがもたらす影響について」
一般社団法人日本経済団体連合会
経済基盤本部長 小畑 良晴
一昨年の政府税制調査会による「働き方の選択に対して中立的な税制の構築をはじめとする個人所得課税改革に関する論点整理(第一次レポート)」で、配偶者控除の見直しに関する選択肢が示されて以来、配偶者控除の存廃も含めた議論が注目されてきたが、平成29年度税制改正においては、配偶者控除制度自体は存続させる一方、いわゆる「103万円の壁」について、金額の引上げが検討される方向にあると報じられている。
平成29年度税制改正の議論は、政府与党ともこれからが本番であり、結論はそれを見なければわからないが、仮に報道のような方向で進むとすればどのような課題があるか考えてみたい。
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現行制度では、一方の配偶者の収入が給与である場合に、その給与収入額が一定額を超えると、その配偶者自らが納税者となるのみならず、他方の配偶者の所得について配偶者控除の適用を受けられなくなる。その一定額とは、38万円と給与所得控除の下限額(65万円)とを合計した金額103万円であり(所法83、2①三十三)、これを称して、「103万円の壁」といわれている。
103万円を引き上げるとなると、その構成要素である38万円を引き上げるか、給与所得控除の下限額(65万円)を引き上げるかのいずれか(あるいは両方)の方法をとることとなる。
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