法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例67】
「医療法人が給食材料費名目で支払った金銭の損金性」
拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は、関東地方のある県庁所在地で病院や医療関連施設を運営する医療法人X(3月決算法人)において、事務長を務めております。
ご承知の通り医療法人は営利法人と同様に法人税が課税されますが、法人の根拠法である医療法上は非営利の団体とされており、その収入の大半を占める社会保険診療報酬は公定価格で、保険診療を行っている各医療機関が勝手に価格を決定することはできないという大きな制約の中で事業を行っております。そのため、同業他医療法人との差別化を図ることは非常に困難なのですが、わが医療法人の場合、多角化によりグループ全体の収益力向上を推し進めることで、厳しい経営環境の中、何とか生き残りを目指して奮闘しているところです。
そのようなわが法人グループの血のにじむような経営努力に対し、先日来受けている税務調査で、水を差すような指摘を受け、法人の理事長は大変憤りを露わにしております。すなわち、わが法人グループの中核である病院における入院患者に対する給食事業につき、これまでグループ外部の業者に委託しておりましたが、別途理事長やその親族が出資する株式会社を通じて行うように変更したことが問題だというのです。わが法人グループの事業をどのように行おうが経営陣の裁量の範囲内であり、税務署に口出しされるいわれはないと思うのですが、税務署は「給食事業のノウハウのない法人を契約書もなく関与させるのは医療法人の悪質な利益調整であり、当該法人への支払いは寄附金に該当する」として課税すべきとし、かつ重加算税も賦課すると主張します。税務署のこのような主張は私人への不当な介入であり、重加算税の賦課などはもってのほかと考えますが、税法上はどのように考えるのでしょうか、教えてください。
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