法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例77】
「ゴルフ会員権に係る預託金債権の貸倒損失についての損金算入時期」
拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は、関東地方のとある県の県庁所在地に本社を置き、ソフトウェアの開発やシステム関連のコンサルティングを行うX株式会社(資本金3億円の3月決算法人)において、経理のみならず採用も担当する、何でも屋の総務部長を務めております。
国のDX(Digital Transformation)化推進政策の影響等もあって、現在、ソフトウェアの開発やITシステム業界は概ね好況で、わが社も多額の受注残を抱えてフル稼働しているところです。
しかし、現在のわが社の従業員数では、増え続ける受注をこなすことは到底困難であることから、昨年度から新卒採用のみならず第二新卒や中途採用にも力を入れていますが、残念ながら思うように採用できていないのが現状です。理工学部出身のわが社の社長は、数学ができない文系にはシステムなど分かるわけがない、採用は理工系学部出身か、最低でも高専出身者にしろと無理難題を押し付けてくるのですが、そのような「金の卵」は待遇のよい大手上場企業にすべてさらわれてしまい、私としては、文学部出身でシェークスピアや源氏物語を学んできた者でもいいから、とにかく人を集めたいと、今存亡の危機にある女子大にも足を伸ばして、学生を送り出してほしいと就職担当者に泣きついているところです。
さて、その一方で、社長は自分の道楽であるゴルフについては聖域であるかの如く日夜ふるまっていますが、今回の税務調査では社長の当該ゴルフ道楽に課税庁のメスが入ったところです。すなわち、わが社が会員となっているゴルフクラブのうち、1ヶ所が経営破綻したのですが、当該ゴルフクラブに係る預託金返還請求権につき切り捨てられた金額を退会手続の完了した日の属する事業年度(令和5年3月期)の損金の額に算入したことについて、調査官から問題視されました。
調査官の言うことには、当該金額はゴルフクラブが民事再生法の規定に基づく再生計画認可の決定につき切り捨てが確定した日の属する事業年度(平成30年3月期)に損金算入されるとのことでした。損金計上のタイミングがかなりずれるのですが、税法上いずれが妥当なのでしょうか、教えてください。
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