法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例79】
「土地と建物を競売により一括取得した場合における建物の取得価額」
拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は、関東地方のとある県における中堅都市に本社を置き、中華料理を提供する店舗を県内及び近隣県に十数軒展開する飲食業を営むX株式会社(資本金3,000万円の3月決算法人)において経理部長を務めております。
飲食業界はご承知の通り2020年から数年にわたって人類を苦しめたコロナ禍で大変な苦境に陥り、同業他社の多くが廃業や倒産の憂き目に遭ったところでしたが、わが社は政府や自治体からの補助金等の効果もあってか、お陰様でなんとか生き延びることができました。とはいえ、コロナ禍の時期は不採算店をいくつも閉店するなど後ろ向きのリストラを実施しておりましたが、コロナ禍が開けた後は再び攻めに転じて、同業他社が手放した店舗を中心に買収し、業務拡大に努めております。
そんな中、先日来、所轄税務署の税務調査を受けていますが、その中で買収した店舗の経理処理について、調査官と見解の相違が生じています。わが社は、店舗に係る土地建物の取得の際、当該建物の上層階に引き続き残ることとなる賃借人がいるため、当該賃借人から預かった敷金の返還債務を差し引いて建物の取得価額とし、それをもとに毎期の減価償却費を算定して損金計上していました。
ところが、税務調査の席で調査官いわく、当該敷金の返還債務は未だ確定していないため、建物の取得価額に算入できない、したがって減価償却費として損金算入できる金額に誤りがある、とのことでした。この場合、敷金の返還債務は確定していないと断ずることはできるのでしょうか、教えてください。
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