公開日: 2021/09/30 (掲載号:No.438)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第57回】「株主優待引当金」

筆者: 西田 友洋

【STEP1】引当金の要件の判定

株主優待により発生する費用が以下の引当金の4要件を満たすかどうかを検討する必要がある。

《引当金の4要件》

 将来の特定の費用又は損失である。

 その発生が当期以前の事象に起因する。

 発生の可能性が高い。

 金額を合理的に見積もることができる。

株主優待により、株主が商品との交換、サービスの提供、値引き等を行うことができる場合、将来に費用が発生するため、上記の要件を満たす。

次に、これは、当期以前に株主優待を付与したという事象により発生するため、の要件も満たす。

そして、及びの要件である発生の可能性が高く、金額を合理的に見積もることができる場合、株主優待引当金を計上する。株主優待を行っている会社では、どれくらい株主優待を株主に渡し、どれだけ使用されているかを管理していることが多いと考えられるため、及びの要件を満たすことが多いと考えられる。

なお、実務上は、全ての企業が株主優待引当金を計上しているわけではない。これは、株主優待引当金を必ず計上するという実務慣行になっていないこと、及び、財務諸表に与える影響を考慮して、計上していないことが考えられる。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第57回】

「株主優待引当金」

 

RSM清和監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

日本では、基準日に株式を保有している株主に対して株主優待券等を付与する株主優待制度を採用している企業が多い。

そして、株主優待について、引当金の要件を満たす場合、引当金を計上する事例がある。具体的には、2021年3月31日から6月30日決算で有価証券報告書に「引当金の計上基準」として株主優待引当金を記載している会社は、143社ある。

今回は、この株主優待引当金を解説する。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

史彩監査法人 パートナー
公認会計士

2007年10月に準大手監査法人に入所。2019年8月にRSM清和監査法人に入所。2022年2月に史彩監査法人に入所。
主に法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。また、会社買収に当たっての財務デューデリジェンス、IPOを目指す会社への内部統制コンサル及び短期調査、収益認識コンサル実績もある。
他に、決算留意事項セミナーや収益認識セミナー等の講師実績もある。

【日本公認会計士協会委員】
監査・保証基準委員会 委員(現任)
監査・保証基準委員会 起草委員会 起草委員(現任)
中小事務所等施策調査会 「監査専門委員会」専門委員(現任)
品質管理基準委員会 起草委員会 起草委員
中小事務所等施策調査会 「SME・SMP対応専門委員会」専門委員
監査基準委員会「監査基準委員会作業部会」部会員

【書籍】
「図解と設例で学ぶ これならわかる連結会計」(共著/日本実業出版社)等

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