公開日: 2016/08/25 (掲載号:No.182)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第29回】「金利スワップの特例処理」

筆者: 西田 友洋

【STEP4】インデックスの一致

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対象となる資産又は負債の金利が変動金利である場合には、その基礎となっているインデックスが金利スワップで受払される変動金利の基礎となっているインデックスほぼ一致しているか(実務指針178)、検討する。

例えば、3ヶ月TIBORと3ヶ月LIBORは比較的高い相関関係を示すことが多いと考えられるが、自動的に「ほぼ一致」とするのではなく、ヘッジ取引開始時の直近の状況により「ほぼ一致」かどうかを判定すべきものと考えられる。直近の一定期間について両者が高い相関関係を示していることが確認されている場合には、ほぼ一致しているものとして扱うことができる。

なお、プライムレートとTIBOR又はLIBORの関係については、TIBORやLIBORが時々刻々と変化するのに対して、プライムレートは一定期間変化しないのが通常であり、事前にほぼ一致と判定することはできないものと考えられるので、特例処理の対象とはならない(Q&A Q58)。

ほぼ一致している場合、【STEP5】を検討する。ほぼ一致していない場合、ヘッジ有効性の判定(【第27回】【STEP3】(1)③及び(2)参照)の要件を充たせば、ヘッジ会計を適用する。充たさない場合、時価評価し、評価差額は、当期の純損益として処理する(実務指針101)。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第29回】

「金利スワップの特例処理」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、金利スワップの特例処理について解説する。

一般事業会社において、金利スワップは、変動金利の借り入れに対して、金利を固定化するために、利用するケースが多い。

金利スワップの特例処理とは、「資産又は負債に係る金利の受払条件を変換することを目的として利用されている金利スワップが金利変換の対象となる資産又は負債とヘッジ会計の要件を充たしており、かつ、その想定元本、利息の受払条件(利率、利息の受払日等)及び契約期間が当該資産又は負債とほぼ同一である場合には、金利スワップを時価評価せず、その金銭の受払の純額等を当該資産又は負債に係る利息に加減して処理することができる」会計処理をいう(会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針(以下、「実務指針」という)」177)。

金利スワップの特例処理は、金融商品会計基準の基本原則であるデリバティブの時価評価に例外を設けるものであることから、拡張解釈を避け、金利スワップがヘッジ対象たる資産又は負債とほとんど一体とみなせる場合に限られている(実務指針346)。なお、売買目的有価証券及びその他有価証券は特例処理の対象としない(実務指針178)。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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