公開日: 2016/08/25 (掲載号:No.182)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第29回】「金利スワップの特例処理」

筆者: 西田 友洋

【STEP8】金利スワップの特例処理の会計処理

金利スワップを時価評価せず、その金銭の受払の純額等をヘッジ対象の資産又は負債に係る利息に加減して処理することができる(実務指針177)。

《設例》

当社は3月決算であり、X1年4月1日に、以下の借り入れ及び金利スワップ契約を締結した。
金利スワップの特例処理の要件は充たしている。

〈借り入れ〉

  • 元本・・・10,000
  • 借入期間・・・X1年4月1日~X4年3月31日
  • 金利・・・6ヶ月TIBOR+0.2%
  • 利払日・・・9月末、3月末

〈金利スワップ〉

  • 想定元本・・・10,000
  • 期間・・・X1年4月1日~X4年3月31日
  • 受取金利・・・6ヶ月TIBOR+0.2%
  • 支払金利・・・1%
  • 利息交換日・・・9月末、3月末

6ヶ月TIBORの金利の推移は、以下のとおりである。

  • X1年4月1日~X1年9月30日・・・1%
  • X1年10月1日~X2年3月31日・・・0.7%
X2年3月期の会計処理は、以下のとおりである。

【X1年4月1日(借り入れ及び金利スワップ契約締結日)】

【X1年9月30日(利払日)】

(※1) 10,000×(6ヶ月TIBOR1%+0.2%)×1/2=60

(※2) 10,000×(6ヶ月TIBOR1%+0.2%)×1/2=60

(※3) 10,000×1%×1/2=50

【X2年3月31日(利払日及び決算日)】

(※1) 10,000×(6ヶ月TIBOR0.7%+0.2%)×1/2=45

(※2) 10,000×(6ヶ月TIBOR0.7%+0.2%)×1/2=45

(※3) 10,000×1%×1/2=50

※金利スワップの時価評価は行わない。

*   *   *

以上、8つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。
※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。

(了)

「フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 」は、毎月最終週に掲載されます。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第29回】

「金利スワップの特例処理」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、金利スワップの特例処理について解説する。

一般事業会社において、金利スワップは、変動金利の借り入れに対して、金利を固定化するために、利用するケースが多い。

金利スワップの特例処理とは、「資産又は負債に係る金利の受払条件を変換することを目的として利用されている金利スワップが金利変換の対象となる資産又は負債とヘッジ会計の要件を充たしており、かつ、その想定元本、利息の受払条件(利率、利息の受払日等)及び契約期間が当該資産又は負債とほぼ同一である場合には、金利スワップを時価評価せず、その金銭の受払の純額等を当該資産又は負債に係る利息に加減して処理することができる」会計処理をいう(会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針(以下、「実務指針」という)」177)。

金利スワップの特例処理は、金融商品会計基準の基本原則であるデリバティブの時価評価に例外を設けるものであることから、拡張解釈を避け、金利スワップがヘッジ対象たる資産又は負債とほとんど一体とみなせる場合に限られている(実務指針346)。なお、売買目的有価証券及びその他有価証券は特例処理の対象としない(実務指針178)。

※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。

※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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