法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例44】
「減価償却資産の判定単位とその損金性」
国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は、神奈川県内において鉄道関連を中心とした模型や物品等を販売する株式会社X(資本金1,000万円、従業員10名の3月決算法人)を経営しております。私は元々製薬関連企業で営業職を務めていましたが、40歳を過ぎて、自分の時間を切り売りするだけのサラリーマン生活に疑問を感じ、子供のころから慣れ親しんできた鉄道模型を細々と扱う商店を開いて、残りの人生を謳歌したいという思いが募り、10年前に私鉄の駅前の商店街に現在の店を開業しました。私のこだわりである、国内外の珍しい鉄道模型を収集し販売しているためか、素人が始めた店の割には顧客がついて、お陰様で店の床面積を2倍に拡大するほどの売上となっております。
ところで、私の店舗で最近力を入れているのは、鉄道模型のジオラマを作成して、その上に実際に模型を走らせるという取り組みです。鉄道模型には軌間によりいくつかの種類がありますが、私の店舗ではそのうち、わが国で最も人気があるNゲージ(軌間9ミリ)とHOゲージ(軌間16.5ミリ)の2種類の模型を走らせることができるレイアウトを常設しております。特にNゲージの方は、地元の子供たちや愛好家が、自分の模型を持ち込んで走らせたりしており、好評をいただいております。一方、HOゲージの方は比較的高額であるため、当社が保有する模型を有償で貸し出して、レイアウト上の運転を楽しんでもらうケースがほとんどです。
さて、そのような貸出し用のHOゲージにつき、先日の税務調査で問題とされました。調査官が言うには、当社が貸し出しているHOゲージの機関車(1台20万円)は、3連となっており、3台で1組の編成となっているのだから、少額減価償却資産(措法67の5)には該当しないとのことです。確かに、わが社のレイアウト上を走らせるのに、蒸気機関車3連運転は非常に迫力があり、多くの愛好家がそれを目当てに訪れているのは事実ですが、1台ずつでも走行可能であり、3台で一編成ということはありません。3台1組だと取得価額が60万円と30万円を大きく超えてしまうため、一時の損金算入はできないということなのでしょうが、使用・貸出の実態に即しておらず、納得がいかないのですが、調査官の言うことが正しいのでしょうか、教えてください。
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