法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例69】
「土地営業権原価に係る償却費の損金該当性」
拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は、関東地方のある政令指定都市に本社を構え不動産の売買及び不動産経営コンサルティング業を営む株式会社X(資本金8億円で3月決算法人)において、経理部長を務めております。
わが社は長らく首都圏郊外の住宅用地の造成及び販売に携わってきましたが、ここ20年程度にわたる働き盛りのサラリーマン層における郊外から都心回帰の動きにより、東京駅から電車で1時間半以上かかるような、わが社の扱っている類の戸建て住宅地の需要は冷え込むようになってきました。そのため、ここ10年くらいは東京23区内やその周辺の、東京駅まで1時間以内に立地する駅周辺の土地を購入し、その上に単身ないし夫婦子なし世帯向けの賃貸マンションを建設して、資産運用に意欲的な富裕層に購入してもらうビジネスに注力することで、わが社もなんとか息を吹き返してやっていけているところです。
さて、そのような中、わが社も先日来国税局の税務調査を受けていますが、そこで1点問題となっている事項があります。それは、他社が開発したゴルフ練習場用地につき、わが社が買収しその建設を引き継いで完成させた物件がありますが、調査官は、その買収の際に計上した営業権は専らゴルフ練習場の建物及び構築物という有形固定資産により構成されており、調査事業年度において当該練習場は未だ稼働していないことから、その減価償却費は損金算入できないと主張しております。私の考えでは、当社が計上した営業権はゴルフ練習場買収に伴い発生した超過収益力に基づく「のれん」であり、ゴルフ練習場は稼働していないもののその運営を行っている事業部は業務を開始しているため、減価償却が可能と考えております。この場合、法人税法上どのように考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。
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