法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例49】
「販売用土地の評価換えに伴う評価損の損金性」
国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は、南関東を主な営業エリアとし不動産販売業を営む株式会社X(資本金9,000万円)において財務部長を務めております。わが社は高度成長期に現社長のお父様が創業したのですが、わが社のこれまでの業績の浮沈は、まさにわが国経済と共にあったと言っても過言ではないところです。
わが社の業績が最も好調だったのは、昭和末期のバブル経済期であり、その時期は末端の社員であっても年に4回もボーナスが出たようです。私が入社したのは平成元年で、ちょうどその頃、わが国はバブル経済の絶頂期を迎え、株価や地価は異常なまでに高騰しました。私もその当時、平社員だったにもかかわらず、その熱狂のさなかで次から次へと高額な不動産売買の仲介に携わり、封筒が立つほどの現金のボーナスをもらって有頂天になっていたことを思い出します。
しかし、まもなくバブル経済は崩壊し、地価も株価も真っ逆さまに下降して、多くの日本人がその激動に翻弄されたものでした。わが社も昭和の末期から平成の初頭にかけて大量の不動産を仕入れていましたが、ほどなくして多額の含み損を抱えることとなり、やむなくその多くを損切り覚悟で販売することを余儀なくされました。また、多額の含み損を抱えたまま販売できない不動産については、止むを得ず評価換えにより損失を計上せざるを得ない状況となりました。
そのような中、先日受けた税務調査で調査官から、わが社が行った販売用土地(棚卸資産)の評価換えに伴う評価損の損金計上が、法人税法に違反するとして是正が求められました。私は入社以来30年間不動産営業一本やりで、経理や財務には明るくないのですが、職務上調査官に反論することが求められております。
ところで、そもそも論として、法人税法における資産の評価損の計上の是非が分からないのですが、その観点から言うと、調査官の主張には根拠があるのでしょうか、教えてください。
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