法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例9】
「減価償却資産の判定単位」
国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私はある語学教室(株式会社)で英語部門を統括しております。私の勤務する語学教室では、近年、ICTを用いた語学教育に注力しており、特に受講生が多い英語部門では、タブレット端末を用いた双方向性の教育システムを導入しております。
昨年度もあるシステム会社の提案を受け、3教室分のタブレット端末計150台を一新しました。その際、それまで使用していたタブレット端末計150台は使用開始して2年も経過していませんでしたが、CPUや液晶画面の性能が新しい端末に劣るため、思い切って全台廃棄処分としました。
廃棄処分したタブレット端末計150台は、1台当たりソフトウェア込みで9万円でしたが、10万円未満であるため、経理と相談のうえ、わが社の法人税の申告においては、すべて少額減価償却資産に該当するものとして、取得年度において損金経理し、全額損金に算入しました。
ところが、先日受けた税務調査で、調査官から、「破棄したタブレット端末は業者から御社が提供する語学教育に特別にカスタマイズしたシステムの一翼を担うべく導入されたものであり、タブレット端末1台1台では御社の語学教育システムとして機能するものではない。したがって、タブレット端末は150台一括の減価償却資産としてとらえるべきものであり、1台当たりの単価が10万円未満であっても、少額減価償却資産に該当しないことから、取得年度において全額損金算入できるものではない」と指摘されました。
確かに、今回廃棄したタブレット端末も導入したタブレット端末も、本校における英語教育に特化したシステムにカスタマイズされたものでありますが、いずれも市販されているタブレット端末にソフトウェアをインストールして使用しているものであるため、タブレット端末1台1台で立派に機能するものといえます。そうであれば、少額減価償却資産であるか否かはタブレット端末1台単位で判定すべきと考えるのですが、いかがでしょうか。
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