法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例17】
「建物内部造作の「器具及び備品」該当性」
国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は神奈川県内に数件の賃貸用マンションを保有する者です。当該マンションはすべて親から相続したもので、私が代表者を務める不動産管理会社(株式会社)を通じて保有しています。
そのうちの一棟はかなり老朽化が進んでおり、なかなかテナントの募集に苦慮していたため、一昨年、大規模な修繕を行いました。内装はクロスの張替えが中心でしたが、ユニットバスを全部新品に取り換えるとともに、窓(窓枠と窓ガラス)とドア扉も全面的に最新のものに取り換えることで、マンションのセキュリティーの水準を大幅に高めることができました。
昨年度の不動産管理会社の確定申告においては、今般の大規模修繕につき、クロスの張替えは修繕費としましたが、ユニットバスや窓、ドア扉の交換費用はすべて器具備品として資産計上しました。その場合の耐用年数ですが、ユニットバスは耐用年数省令の「器具及び備品」のうち「前掲する資産のうち、当該資産について定められている前掲の耐用年数によるもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」と解して、うち「その他のもの」に該当すると考えて8年としました。
また、窓やドア扉も同様に耐用年数省令の「器具及び備品」のうち「前掲する資産のうち、当該資産について定められている前掲の耐用年数によるもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」と解し、うち「主として金属製のもの」に該当すると考えて15年としました。
ところが、現在進行中の税務調査で税務署の調査官から、ユニットバスや窓、ドア扉はいずれも建物と一体になって使用される減価償却資産であるため、その耐用年数は建物と同じであると言い渡されました。マンションのような鉄筋の堅牢な構築物と、ユニットバスや窓枠、ドア扉のごとき交換可能な資産を一緒くたに考えて減価償却を行うなど、実態を全く無視した暴論と考えるのですが、いかがでしょうか。
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