公開日: 2023/12/07 (掲載号:No.547)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例58】「パチンコ器及びスロットマシンの少額の減価償却資産該当性」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例58】

「パチンコ器及びスロットマシンの少額の減価償却資産該当性」

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、近畿地方の県庁所在地に本社を置き、本社の所在地県及び近隣の府県一円において、パチンコ及びスロットマシンの遊技店を経営する株式会社Y(資本金10億円で3月決算)に勤務し、現在経理部長を務めております。少子高齢化はわが国の社会経済全般に様々な影響を及ぼしておりますが、エンターテインメント業界もその例外ではなく、人口減は端的に市場規模の縮小をもたらしているところであり、ここ数年、パチンコホールの倒産・民事再生手続の開始といったニュースも度々耳にするところです。

そのような環境下にあっても、わが社は他社との厳しい競争を勝ち抜いて生き残っていかねばならず、そのためにあらゆる手段を採ってきたところです。最も力を入れてきた施策は、お客様を1人でも多く呼び込むために、常に最新の人気機種をすべてのお店に導入することです。その甲斐もあって、近隣の同業他社との比較で集客力は上回っており、売上げの落ち込みも最低限に抑えることができたものと自負しております。

さて、そのような中、わが社は先日来税務調査を受けております。昔からわが業界は税務署との相性はよろしくないのですが、今回もまたこれまで以上に厳しいやり取りが続いております。今回特に問題となっているのは、わが社が企業存続のために行っている最重要施策である、最新人気パチンコ・パチスロ機種の矢継ぎ早の更新についてです。すなわち、耐用年数に関する省令では、パチンコ器の耐用年数は2年、パチスロ機は「スポーツ具」に該当するため3年とあるのにもかかわらず、わが社はその更新が概ね1年未満ということで、使用可能期間が1年未満の少額の減価償却資産に該当することから、損金経理により全額取得した年度の損金としているのですが、当該処理が「問題」であると指摘されております。法人税法も認めている当該経理処理を否認することは、税務署といえどもできないのではと考えますが、私どもの理解で問題ないか教えてください。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例58】

「パチンコ器及びスロットマシンの少額の減価償却資産該当性」

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、近畿地方の県庁所在地に本社を置き、本社の所在地県及び近隣の府県一円において、パチンコ及びスロットマシンの遊技店を経営する株式会社Y(資本金10億円で3月決算)に勤務し、現在経理部長を務めております。少子高齢化はわが国の社会経済全般に様々な影響を及ぼしておりますが、エンターテインメント業界もその例外ではなく、人口減は端的に市場規模の縮小をもたらしているところであり、ここ数年、パチンコホールの倒産・民事再生手続の開始といったニュースも度々耳にするところです。

そのような環境下にあっても、わが社は他社との厳しい競争を勝ち抜いて生き残っていかねばならず、そのためにあらゆる手段を採ってきたところです。最も力を入れてきた施策は、お客様を1人でも多く呼び込むために、常に最新の人気機種をすべてのお店に導入することです。その甲斐もあって、近隣の同業他社との比較で集客力は上回っており、売上げの落ち込みも最低限に抑えることができたものと自負しております。

さて、そのような中、わが社は先日来税務調査を受けております。昔からわが業界は税務署との相性はよろしくないのですが、今回もまたこれまで以上に厳しいやり取りが続いております。今回特に問題となっているのは、わが社が企業存続のために行っている最重要施策である、最新人気パチンコ・パチスロ機種の矢継ぎ早の更新についてです。すなわち、耐用年数に関する省令では、パチンコ器の耐用年数は2年、パチスロ機は「スポーツ具」に該当するため3年とあるのにもかかわらず、わが社はその更新が概ね1年未満ということで、使用可能期間が1年未満の少額の減価償却資産に該当することから、損金経理により全額取得した年度の損金としているのですが、当該処理が「問題」であると指摘されております。法人税法も認めている当該経理処理を否認することは、税務署といえどもできないのではと考えますが、私どもの理解で問題ないか教えてください。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

● 法人税の損金経理要件をめぐる事例解説【事例1~50】

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

             

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