法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例68】
「法人の支出する飲食費等のうち交際費等に該当するものの判断基準」
拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は、近畿地方のある県庁所在地で広告業を営む株式会社Z(資本金5,000万円で3月決算法人)において、総務部長を務めております。わが社は大手広告代理店に勤務していた現社長が20年前に起業した会社であり、創業当時はTVCM制作の下請け業務が主でしたが、現在は企業や大学、医療機関のブランディングの企画立案が主たる業務となっております。
企業や大学のブランディングとは、一言でいえば顧客となる企業や大学の知名度やイメージを引き上げることであり、それを通じて企業の製品の売上増や大学の学生獲得増に貢献する活動であるといえます。近年はマスメディアやTVCMを通じた企業・製品の広告宣伝活動よりも、webやSNSによるマーケティング活動のほうがより効果的というのが、わが業界の常識となりつつあります。ご承知の通り、大学は少子化の波をもろに受け、中堅以下の私立大学はその存続が危ぶまれるほど学生募集に苦慮しており、その生き残り戦略としてブランディングの確立が急務となっております。そのため、企業や大学からのSNSによる効果的なブランディングを行ってほしいという依頼が急増しており、それが現在のわが社の稼ぎ頭となっております。
そのような中、最近税務署の税務調査を受け、交際費に関する指摘を執拗に受けております。すなわち、わが社は中小法人に該当し、当初申告では法人税の取扱い上損金算入が認められる上限に達しない金額の交際費のみ計上していたのですが、申告を見直したところその金額が増加したため、更正の請求を行いました。ところが税務署は、追加計上した部分の金額につき、「特定の取引先の社長や大学の理事との飲食費が突出して多いが、これはプライベートな飲食であり個人で負担すべき支出ではないか」と難癖をつけてくるのです。業務を発注し合う間柄の取引先との飲食費が交際費にならないというのは、社会通念に反するトンデモ理論だと思うのですが、税法の解釈はどうなるのでしょうか、教えてください。
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