公開日: 2026/03/05 (掲載号:No.659)
文字サイズ

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例84】「支払先の個人名が明らかでない外国政府関係者への支払いの損金性」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例84】

「支払先の個人名が明らかでない外国政府関係者への支払いの損金性」

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、九州のとある県庁所在地に本社がある半導体関連の化学材料を製造している株式会社X(資本金10億円で3月決算)において、経理部長を務めております。

半導体業界の動向ですが、これまで何度も好況・不況の波を繰り返しながら、全般的には拡大傾向にあるものと考えられます。しばらく前までは、いわゆるコロナ禍に見舞われる中において、テレワークの増加によるノートパソコンの需要、公共交通機関の利用を避けるための自家用車の需要が急増し、自動車メーカーでは半導体不足による減産・操業停止に追い込まれるほどでした。しかし、コロナ禍が終息するとテレワーク需要が減少し、それまで堅調だったPC・タブレット・スマートフォン向けの半導体に関しては、ブームが過ぎて多くを期待できなくなったものと考えられます。

一方で、IoT・AI・5G・ビッグデータ活用など、グローバルな規模で社会のデジタル化への移行が一気に進んでいるため、中長期的な視点から見れば、半導体の需要は今後も高い水準を継続するものと推察されます。そのため、半導体メーカーは製造キャパシティを増やすための設備投資を大胆に行っており、今後の需要に備えているものと考えてよいでしょう。すなわち、これまでスマートフォン・PC・サーバーが占めていた半導体へのニーズは、将来的には産業用途・医療・自動車向けのものに変わるものと予想されるというわけです。

さて、そのような中、わが社に国税局から数年に1回の税務調査が入り、主査と調査官がやって来たため、私は現在部下と共にその対応に追われております。今回の調査で問題となっているのは、アジアのある国において材料調達を円滑に進めるために、その国の高官に金品を交付したのですが、当該支払いは損金不算入ではないかという点です。調査官は、その相手先が分からない以上、架空の支払いではないかと詰め寄ってきますが、支払の記録がある以上、架空とされる余地はないものと考えるのですが、税法上どう考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。

すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。

Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。

会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例84】

「支払先の個人名が明らかでない外国政府関係者への支払いの損金性」

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、九州のとある県庁所在地に本社がある半導体関連の化学材料を製造している株式会社X(資本金10億円で3月決算)において、経理部長を務めております。

半導体業界の動向ですが、これまで何度も好況・不況の波を繰り返しながら、全般的には拡大傾向にあるものと考えられます。しばらく前までは、いわゆるコロナ禍に見舞われる中において、テレワークの増加によるノートパソコンの需要、公共交通機関の利用を避けるための自家用車の需要が急増し、自動車メーカーでは半導体不足による減産・操業停止に追い込まれるほどでした。しかし、コロナ禍が終息するとテレワーク需要が減少し、それまで堅調だったPC・タブレット・スマートフォン向けの半導体に関しては、ブームが過ぎて多くを期待できなくなったものと考えられます。

一方で、IoT・AI・5G・ビッグデータ活用など、グローバルな規模で社会のデジタル化への移行が一気に進んでいるため、中長期的な視点から見れば、半導体の需要は今後も高い水準を継続するものと推察されます。そのため、半導体メーカーは製造キャパシティを増やすための設備投資を大胆に行っており、今後の需要に備えているものと考えてよいでしょう。すなわち、これまでスマートフォン・PC・サーバーが占めていた半導体へのニーズは、将来的には産業用途・医療・自動車向けのものに変わるものと予想されるというわけです。

さて、そのような中、わが社に国税局から数年に1回の税務調査が入り、主査と調査官がやって来たため、私は現在部下と共にその対応に追われております。今回の調査で問題となっているのは、アジアのある国において材料調達を円滑に進めるために、その国の高官に金品を交付したのですが、当該支払いは損金不算入ではないかという点です。調査官は、その相手先が分からない以上、架空の支払いではないかと詰め寄ってきますが、支払の記録がある以上、架空とされる余地はないものと考えるのですが、税法上どう考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。

すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。

Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。

会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。

連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

● 法人税の損金経理要件をめぐる事例解説【事例1~50】

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『新版 修正申告と更正の請求の対応と実務』(2025年・清文社)
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

           

関連書籍

法人税事例選集

公認会計士・税理士 森田政夫 共著 公認会計士・税理士 西尾宇一郎 共著

プロフェッショナル 消費税の実務

税理士 金井恵美子 著

STEP式 消費税申告書の作成手順

税理士 石原健次 監修 税理士 田部純一 共著 税理士 三野友行 共著 税理士 田中信大 共著 税理士 平安孝至 共著 税理士 船橋 充 共著

重点解説 法人税申告の実務

公認会計士・税理士 鈴木基史 著

消費税実務問答集

杉浦孝幸 編

新・くらしの税金百科 2025→2026

公益財団法人 納税協会連合会 編

第7版 法人税別表4、5(一)(二)書き方完全マスター

TAC株式会社(プロフェッションネットワーク) 編著

税務・労務ハンドブック

公認会計士・税理士 井村 奨 著 税理士 山口光晴 著 税理士 濱 林太朗 著 特定社会保険労務士 佐竹康男 著 特定社会保険労務士 井村佐都美 著

令和7年度版 税務コンパクトブック

株式会社プロフェッションネットワーク 編著

実務必須の重要税務判例100

弁護士 菊田雅裕 著

「税関の税務調査」と消費税の更正の請求

税理士 八ッ尾順一 監修 税理士 杉澤雄一 著

法人税の損金経理

税理士 安部和彦 著

はじめてのインボイス登録と消費税の申告

税理士 小谷羊太 監修 税理士 森本耕平 著
#