法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例37】
「法人の代表者が自分個人名義のクレジットカードで支払った飲食代金の交際費該当性」
国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦
【Q】
私は、長年勤めた地方銀行を数年前に退職し、埼玉県内のJR沿線のとある駅から車で10分以内に本社兼工場を有する株式会社で、経理・財務部門を所掌する部長職にある者です。当社は資本金5,000万円程度の中小零細企業ですが、最近、コロナ禍を反映してか、空気清浄機に使用する特殊なフィルターの注文がひっきりなしに入ってきており、お陰様で業績は堅調といったところです。
当社は従来、特定の取引先としか付き合いがなかったことから、接待や供応の必要性があまりなかったため、交際費の支出は少なめでした。しかし、ここ数年、従来の取引先以外へのアプローチを増やさなければ、この先、当社の生き残りは覚束ないという危機感の下、当社の社長は、異業種交流会で知り合ったコンサルタントの紹介で、業界内外の経営者と付き合う機会が飛躍的に増えたところです。その成果として、空気清浄機に使用するフィルターの製造開発及び販路開拓につながったことから味を占めたのか、社長は更なる業務拡大のため、会食やゴルフ接待に勤しんでいる模様です。
そのため、ここ2年くらいは、従来よりも桁が2つくらい違う交際費の支出となっており、その費用対効果が問われかねないところです。もっとも、社長はそのことを少しも気に留めていないようで、「交際費なんか使わないと税金で持っていかれるだけで大損だ」と公言しています。特に最近信頼しているコンサルタントから吹き込まれたのか、前財務大臣が中小企業向けの交際費課税を緩和したので、コロナ禍で苦しむわが国の経済を回すため、それに応えるのが経営者の務めだ、と嘯いております。
そんな中、先日当社にも税務調査が入り、税務署の調査官から、社長個人のクレジットカード払いの費用を法人の交際費として計上している分は、社長の個人的な支出であるから、法人の交際費とはならない旨言い渡されました。私としては、恐れていたことが現実になったと頭を抱えておりますが、社長はあくまで法人の交際費である点を譲る気がありません。当社はどのように対応すべきなのでしょうか、教えてください。
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