日本の企業税制
【第15回】
「成長戦略としての平成27年度税制改正」
一般社団法人日本経済団体連合会
常務理事 阿部 泰久
1 はじめに
2 成長志向の法人税改革
3 法人実効税率の引下げと先行減税
4 賃上げの原資としての法人税減税
5 課税ベースの拡大
1 はじめに
平成27年度税制改正は、アベノミクスの第3の矢としての成長戦略に色濃く縁取られたものとなった。
昨年末12月30日にとりまとめられた与党平成27年度税制改正大綱の「基本的考え方」では、デフレ脱却・経済再生をより確実なものにしていくため、「企業収益の拡大が速やかに賃金上昇や雇用拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じてさらなる企業収益に結び付くという、経済の好循環を着実に実現していくことが重要である。」として、法人税改革が冒頭に掲げられている。
このほかにも、高齢者層から若年者層への資産移転に関する様々な措置も、住宅投資や個人消費の活性化という成長戦略に沿うものである。また、地方創生関係の措置も、成長の成果を地方へ波及させようとするものにほかならない。
そこで、本稿では、今回の法人税改革を成長戦略の中での位置づけを通して読み込んでいくこととしたい。
2 成長志向の法人税改革
今回の法人税改革は「「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことにより、法人課税を成長志向型の構造に変えるもの」(大綱)と位置付けられている。
税率引下げにより「稼ぐ力のある企業」の税負担の軽減を図る一方で、課税ベースの拡大(特に欠損金繰越控除の制限)や外形標準課税の拡大により、赤字企業や収益力の乏しい企業には厳しい内容となっている。
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