公開日: 2026/10/01 (掲載号:No.688)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例90】「卸売業者が負担した増仕切価格と仲卸業者等への実際の販売価格との差額についての損金性」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例90】

「卸売業者が負担した増仕切価格と仲卸業者等への実際の販売価格との差額についての損金性」

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、中国地方のとある県の県内第二の都市に本社を置き、中国・四国地区にて青果物及びその加工品等を扱っている株式会社X(資本金8,000万円で3月決算)において、経理部長を務めております。

現在、わが業界における税制に関する最大の関心事は、消費税にかかる食料品減税の行方です。2026年の総選挙において、物価高・インフレ対策で急遽争点となった消費税減税ですが、中でも飲食料品を「消費税の対象としない」という公約が有権者に受け、与党自民党・日本維新の会が圧勝したのは記憶に新しいところです。その後紆余曲折があり、どうやら飲食料品への消費税はゼロ税率ではなく1%にして2年間限定で減税し、その後は元の税率8%に戻して給付付き税額控除に移行するという方向で落ち着きそうな情勢です。しかしながら、このようなやり方が物価高・インフレ対策に効くのか大いに疑問であるばかりでなく、外食産業への悪影響や、一度下がった税率を本当に元に戻せるのか、代替財源は本当に確保できるのかといった課題や懸念が山積しており、世界の中で日本がさらに地盤沈下していくのではないかとハラハラするばかりです。

さて、そのような中、先週から税務調査を受けており、法人税に関してとある問題がクローズアップされております。当社は委託を受けて青果物及びその加工品等を仲卸業者に販売していますが、委託者には実際の販売価格よりも高い価格(増仕切価格)から委託手数料を控除した金額を支払っており、当社の経理上は、実際の販売価格を売上原価に算入するのみでなく、増仕切価格と実際の販売価格との差額を「売上雑損」として損金に算入しています。しかし、税務署の調査官は、当該売上雑損から増仕切価格に対する委託手数料と実販売価格に対する委託手数料との差額を控除した金額が「寄附金の額」に該当するものとして、損金性を一部否認しています。調査官の言うロジックがよくわからないのですが、どのように解すべきなのでしょうか、教えてください。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例90】

「卸売業者が負担した増仕切価格と仲卸業者等への実際の販売価格との差額についての損金性」

 

拓殖大学商学部教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、中国地方のとある県の県内第二の都市に本社を置き、中国・四国地区にて青果物及びその加工品等を扱っている株式会社X(資本金8,000万円で3月決算)において、経理部長を務めております。

現在、わが業界における税制に関する最大の関心事は、消費税にかかる食料品減税の行方です。2026年の総選挙において、物価高・インフレ対策で急遽争点となった消費税減税ですが、中でも飲食料品を「消費税の対象としない」という公約が有権者に受け、与党自民党・日本維新の会が圧勝したのは記憶に新しいところです。その後紆余曲折があり、どうやら飲食料品への消費税はゼロ税率ではなく1%にして2年間限定で減税し、その後は元の税率8%に戻して給付付き税額控除に移行するという方向で落ち着きそうな情勢です。しかしながら、このようなやり方が物価高・インフレ対策に効くのか大いに疑問であるばかりでなく、外食産業への悪影響や、一度下がった税率を本当に元に戻せるのか、代替財源は本当に確保できるのかといった課題や懸念が山積しており、世界の中で日本がさらに地盤沈下していくのではないかとハラハラするばかりです。

さて、そのような中、先週から税務調査を受けており、法人税に関してとある問題がクローズアップされております。当社は委託を受けて青果物及びその加工品等を仲卸業者に販売していますが、委託者には実際の販売価格よりも高い価格(増仕切価格)から委託手数料を控除した金額を支払っており、当社の経理上は、実際の販売価格を売上原価に算入するのみでなく、増仕切価格と実際の販売価格との差額を「売上雑損」として損金に算入しています。しかし、税務署の調査官は、当該売上雑損から増仕切価格に対する委託手数料と実販売価格に対する委託手数料との差額を控除した金額が「寄附金の額」に該当するものとして、損金性を一部否認しています。調査官の言うロジックがよくわからないのですが、どのように解すべきなのでしょうか、教えてください。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

● 法人税の損金経理要件をめぐる事例解説【事例1~50】

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『新版 修正申告と更正の請求の対応と実務』(2025年・清文社)
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

           

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