減損会計を学ぶ
【第8回】
「減損の兆候の例示③」
~経営環境の著しい悪化の場合・市場価格の著しい下落の場合~
公認会計士 阿部 光成
「固定資産の減損に係る会計基準」(以下「減損会計基準」という)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(以下「減損適用指針」という)では、減損の兆候として、経営環境の著しい悪化のケースと市場価格の著しい下落のケースについて例示している。
資産又は資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したか、又は、悪化する見込みである場合には、減損の兆候となる(減損会計基準 二 1.③)。
資産又は資産グループの市場価格が著しく下落したことは、減損の兆候となる(減損会計基準 二 1.④)。
以下では、上記の減損の兆候を識別する際の留意点を解説する。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
1 経営環境の著しい悪化
「経営環境が著しく悪化した」場合として、次のものが例示されている(減損適用指針14項)。
経営環境の著しい悪化は、個々の企業において大きく異なるため、減損適用指針では、考えられる例示を示すにとどめていると述べられている(減損適用指針88項)。
実務における減損の兆候の識別の際には、これらが例示であることを踏まえて判断する必要があると解される。
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