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税効果会計を学ぶ 【第20回】「連結財務諸表における税効果会計の取扱い⑤」~のれん・子会社への投資の評価減に関する税効果

筆者:阿部 光成

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税効果会計を学ぶ

【第20回】

「連結財務諸表における

税効果会計の取扱い⑤」

~のれん・子会社への投資の評価減に関する税効果

 

公認会計士 阿部 光成

 

「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第6号。以下「連結税効果実務指針」という)では、のれん(又は負ののれん)と子会社への投資の評価減に関する税効果の取扱いについて規定している。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅰ のれんに関する税効果

1 考え方

連結財務諸表の作成において、投資時における資本連結手続上、子会社への投資額と子会社資本の親会社持分額との間に差額が生じている場合は、のれん(又は負ののれん)として処理される(「連結財務諸表に関する会計基準」24項)。

税効果会計は、一時差異等について繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する処理であるので、のれん又は負ののれんが一時差異等に該当するかどうかがポイントになる。

2 のれん(又は負ののれん)に関する繰延税金資産又は繰延税金負債

連結税効果実務指針27項は、のれん又は負ののれんは税務上の資産又は負債の計上もその償却額の損金又は益金算入も認められておらず、また、子会社における個別貸借対照表上の簿価は存在しないから一時差異が生ずることになると述べている。

しかしながら、連結税効果実務指針27項では、のれん(又は負ののれん)に関して繰延税金負債又は繰延税金資産は計上しないと規定している。

これは、のれん(又は負ののれん)が投資と資本の相殺消去の結果生じる差額であるため、のれん(又は負ののれん)に対して子会社が税効果を認識すれば、のれん又は負ののれんが変動し、それに対してまた税効果を認識するという循環が生じてしまうことを回避するためである(連結税効果実務指針52項)。

 

Ⅱ 子会社への投資の評価減

1 考え方

親会社の個別財務諸表において子会社株式の評価減を行うことがある。

連結財務諸表の作成において、子会社株式の評価減は資本連結手続によって消去されることから、評価減の消去に伴う将来加算一時差異が発生する。

これについて、連結税効果実務指針は①評価減が税務上損金に算入されないケースと②評価減が税務上損金に算入されるケースに分けて規定している(連結税効果実務指針28項)。

2 評価減が税務上損金に算入されないケース

個別財務諸表における子会社株式の評価減について、将来減算一時差異の全部又は一部に対して繰延税金資産が計上されているときには、資本連結手続によって行われた評価減の消去に係る将来加算一時差異に対して、先に税効果を認識した将来減算一時差異の金額を限度として税効果を認識する。

その結果、連結手続上発生した将来加算一時差異に対して計上される繰延税金負債の額は、個別貸借対照表において計上された繰延税金資産の額と完全に一致することになり、連結財務諸表上、子会社への投資について一時差異が生じていないことと同様になり、税効果を認識していない結果と同様になる。

3 評価減が税務上損金に算入されるケース

個別財務諸表における子会社株式の評価減が資本連結手続上消去されたときには、評価減の消去に伴う将来加算一時差異に対して税効果を認識しないものとする。

*  *  *

連結税効果実務指針では、又はの手続を実施した後に、あらためて子会社への投資に係る一時差異について、連結税効果実務指針29項から38-3項に示された手続を実施すると規定している。

そして、本手続の適用上、当該各項において「個別貸借対照表上の投資簿価」とあるのは「税務上の簿価」と読み替えるものとし、その結果、投資の連結貸借対照表上の価額と親会社の税務上の簿価との差異について税効果が認識され、繰延税金資産又は繰延税金負債が計上されると述べている。

【参考】 企業会計基準委員ホームページ
連結財務諸表に関する会計基準

(了)

「税効果会計を学ぶ」は、隔週の掲載となります。

連載目次

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筆者紹介

  • 阿部 光成

    (あべ・みつまさ)

    公認会計士
    中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

    現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
    企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

    主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂版〕』(編著、商事法務)がある。

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