減損会計を学ぶ
【第1回】
「減損会計の全体像」
公認会計士 阿部 光成
平成14年8月に、企業会計審議会から「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(以下「減損会計意見書」という)が公表され、平成17年4月1日以後開始する事業年度から実施されている。減損会計はすでに実務に定着しているものといえる。
減損会計は、企業の業績が悪化するなどし、将来の収益が十分には獲得できない場合に、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように固定資産の帳簿価額を減額する会計処理である。このため、減損会計は毎期決算のポイントとなる事項であり、将来の収益の獲得という見積りの要素が重要となる。
前述のように減損会計はすでに実務に定着しているものの、導入当初はなかなかなじみにくい会計基準であるとの意見が聞かれた。これは、減損会計には全体像が理解しにくい面があること、減損の兆候などの新しい用語が使用されていること、管理会計の要素を考慮する面があることなどがあるためではないかと考えられる。
本連載では、「減損会計を学ぶ」として、減損会計の基本的な考え方から解説を行う。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
Ⅰ 減損会計に関連する会計基準等
減損会計に関連する会計基準等としては次のものが公表されている。
減損会計はこれらの会計基準等に準拠して行うので、これらについて理解することが必要となる。
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