金融商品会計を学ぶ
【第14回】
「時価を把握することが極めて困難と認められる
株式・債券の減損処理」
公認会計士 阿部 光成
前回に引き続き、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号。以下「金融商品会計基準」という)及び「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号。以下「金融商品実務指針」という)に規定する有価証券の減損処理について解説する。
本稿では、「時価を把握することが極めて困難と認められる株式・債券」の減損処理を対象とする。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
Ⅰ 時価を把握することが極めて困難と認められる株式の減損処理
1 減損処理の規定
金融商品会計基準21項は、時価を把握することが極めて困難と認められる株式の減損処理について、次のように規定している。
時価を把握することが極めて困難と認められる株式については、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をなし、評価差額は当期の損失として処理しなければならない。
上記の規定では、
① 財政状態
② 実質価額
がポイントになるものと解される。
2 財政状態・実質価額
上記「財政状態」及び「実質価額」に関して、金融商品実務指針92項では次のように規定している。
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