金融商品会計を学ぶ
【第15回】
「有価証券の保有目的区分の変更」
公認会計士 阿部 光成
「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号。以下「金融商品会計基準」という)及び「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号。以下「金融商品実務指針」という)では、有価証券の保有目的による区分を設けており、正当な理由なく有価証券の保有目的区分の変更をすることはできないものとしている(金融商品実務指針80項)。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
Ⅰ 有価証券の保有目的による区分
金融商品会計基準では、有価証券を保有目的等の観点から、次のものに区分し、それぞれの区分に応じて、会計処理を規定している。
① 売買目的有価証券
② 満期保有目的の債券
③ 子会社株式及び関連会社株式
④ その他有価証券
①売買目的有価証券及び②満期保有目的の債券については、定義及び要件について明確かつ限定的に定められている。また、その他有価証券には①から③に該当しないものとして幅広く定義されたものが含まれることになる。
有価証券の各保有目的区分を構成する銘柄が当該保有目的区分の定義及び要件を満たしているかどうかについては、取得時に判断するだけでなく、取得後も継続してその要件を満たしていることを検討することが必要である(金融商品実務指針59項)。
Ⅱ 保有目的区分の変更
1 趣旨
金融商品実務指針では、保有目的区分を厳格にすることにより判断の恣意性を排除することとしており、原則として取得当初の保有目的を取得後に変更することを認めていない(金融商品実務指針281項)。
例えば、売却可能性が否定できなかったため、その他有価証券にいったん分類した債券を、その後満期まで保有することとする意思決定を行ったとしても、満期保有目的の債券に振り替えることはできない(金融商品実務指針281項)。
2 保有目的区分の変更が認められるケース
金融商品実務指針は、次のケースに限って保有目的区分の変更が認められるとし、その取扱いを限定している(金融商品実務指針80項、280項)。
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