収益認識会計基準(案)を学ぶ
【第10回】
「収益の額の算定③」
-取引価格の変動-
公認会計士 阿部 光成
Ⅰ はじめに
【第2回】において、「収益認識に関する会計基準(案)」(以下「収益認識会計基準(案)」という)における収益認識のためのステップとして、次の5つがあることを解説した。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:契約における履行義務に取引価格を配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識する。
今回は、ステップ 4の「契約における履行義務に取引価格を配分する」のうち「取引価格の変動」を解説する。
「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(以下「収益認識適用指針(案)」という)では、取引価格の算定に関連する設例が多く作成されているので、実務の適用の際に参考になる。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
Ⅱ 取引価格の変動
1 基本的な考え方
取引価格は、契約における取引開始日以後にさまざまな理由で変動する可能性がある(収益認識会計基準(案)128項)。
取引価格の事後的な変動は、契約における取引開始日以後の独立販売価格の変動を考慮せずに、契約における取引開始日と同じ基礎により契約における履行義務に配分する(収益認識会計基準(案)71項)。
取引価格の事後的な変動のうちすでに充足した履行義務に配分された額については、取引価格が変動した期の収益の額を修正する。
関連する収益認識適用指針(案)の設例は次のとおりである。
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