酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第94回】
「法令相互間の適用原則から読み解く租税法(その4)」
~特別法優先の原則~
中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦
《(その1)はこちら》
はじめに
Ⅰ 所管事項の原則
1 概観
2 所得税法157条《同族会社等の行為又は計算の否認等》の適用
3 対応的調整と所管事項の原則
《(その2)はこちら》
Ⅱ 形式的効力の原則
1 概観
2 遡及課税事案
3 添付要件を付した施行令及び施行規則
4 政令が規定するプロラタ計算
5 小括
《(その3)はこちら》
Ⅲ 後法優位の原則
1 概観
2 ヤフー事件-法人税法132条と同法132条の2-
3 配当異議事件
Ⅳ 特別法優先の原則
1 概観
特別法優先の原則とは、特別法が一般法に優先して適用されるという考え方である。法令の所管事項の原則(本連載「その1」)及び法令の形式的効力の原則(本連載「その2」)によっても、2つ以上の法令間の矛盾抵触を解決することができない場合にこの原則が機能することになる(伊藤義一『税法の読み方 判例の見方〔改訂版〕』83頁(TKC出版2007))。
これは、代表的には、民法(一般法)と商法・会社法(特別法)とのような関係を指すものである。これらのうち、商法・会社法が民法に優先して適用されることになる。
なお、一般法と特別法との関係にある法令の間においては、前回(本連載「その3」)述べた後法優位の原則は発動されない。
2 特別法優先の原則が争点となった事例
特別法優先の原則が争点となった事例は枚挙に暇がない。
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