公開日: 2015/09/10 (掲載号:No.135)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第33回】「租税法の解釈における厳格性(その3)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第33回】

「租税法の解釈における厳格性(その3)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

《(その1)はこちら

はじめに

1 厳格な解釈の要請

(1) 厳格な解釈が要請される理由

(2) 租税法が財産権の侵害規範であるため

(3) 予測可能性を担保するため

(4) 行政裁量の余地を否定し、恣意的な課税を防止する必要があるため

(5) 自己に都合のよい解釈を許容せず、公平な課税を実現するため

《(その2)はこちら

2 租税法にみる財産権の侵害規範性

3 非課税規定・減免規定に関する解釈姿勢

(1) 素朴な疑問

(2) 「例外の例外」

 

4 政策的規定における厳格な解釈姿勢

(1) 租税特別措置規定における歪み(アプローチ

政策による課税の歪みは小さくすべきとの考え方によるアプローチは、特に租税特別措置規定の解釈論にみられる代表的なものである。以下、アプローチを考えるに当たり、租税特別措置規定を中心に検証してみたい。

そもそも、租税特別措置規定をいかに考えるべきであろうか。ここでは、差し当たり2つの考え方があり得る。すなわち、第一に、法人税法や相続税法のような本法が原則であり、租税特別措置「法」は例外的規定であるから、厳格に解釈されなければならないとする考え方である【図3】

【図3】

この点、例えば、大阪地裁昭和54年4月17日判決(判タ395号122頁)は次のように述べ、最高裁昭和48年11月16日第二小法廷判決(民集27巻10号1333頁)を引用している。

特措法のような租税負担の例外を定めた法律を解釈適用する際には、厳格に解釈し、みだりに拡張解釈をするべきではない(最判昭和48年11月16日民集27巻10号1333頁参照)。

これは、平たくいえば、「租税特別措置法とは本来のあるべき課税を歪めているのだから、厳格に解釈すべき」という理解といえよう。

また、一方で、本法と租税特別措置法という捉え方ではなく、一般的規定か租税特別措置規定かという捉え方も考え得るだろう。

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酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第33回】

「租税法の解釈における厳格性(その3)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

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はじめに

1 厳格な解釈の要請

(1) 厳格な解釈が要請される理由

(2) 租税法が財産権の侵害規範であるため

(3) 予測可能性を担保するため

(4) 行政裁量の余地を否定し、恣意的な課税を防止する必要があるため

(5) 自己に都合のよい解釈を許容せず、公平な課税を実現するため

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2 租税法にみる財産権の侵害規範性

3 非課税規定・減免規定に関する解釈姿勢

(1) 素朴な疑問

(2) 「例外の例外」

 

4 政策的規定における厳格な解釈姿勢

(1) 租税特別措置規定における歪み(アプローチ

政策による課税の歪みは小さくすべきとの考え方によるアプローチは、特に租税特別措置規定の解釈論にみられる代表的なものである。以下、アプローチを考えるに当たり、租税特別措置規定を中心に検証してみたい。

そもそも、租税特別措置規定をいかに考えるべきであろうか。ここでは、差し当たり2つの考え方があり得る。すなわち、第一に、法人税法や相続税法のような本法が原則であり、租税特別措置「法」は例外的規定であるから、厳格に解釈されなければならないとする考え方である【図3】

【図3】

この点、例えば、大阪地裁昭和54年4月17日判決(判タ395号122頁)は次のように述べ、最高裁昭和48年11月16日第二小法廷判決(民集27巻10号1333頁)を引用している。

特措法のような租税負担の例外を定めた法律を解釈適用する際には、厳格に解釈し、みだりに拡張解釈をするべきではない(最判昭和48年11月16日民集27巻10号1333頁参照)。

これは、平たくいえば、「租税特別措置法とは本来のあるべき課税を歪めているのだから、厳格に解釈すべき」という理解といえよう。

また、一方で、本法と租税特別措置法という捉え方ではなく、一般的規定か租税特別措置規定かという捉え方も考え得るだろう。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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