酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第13回】「土地譲渡に係る所得税と相続税との二重課税問題(その1)」
筆者:酒井 克彦
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酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第13回】
「土地譲渡に係る所得税と相続税との二重課税問題(その1)」
国士舘大学法学部教授・法学博士
酒井 克彦
いわゆる『年金二重課税事件』と呼ばれる事例の上告審最高裁平成22年7月6日第二小法廷判決(判時2079号20頁。以下「平成22年最判」ともいう)は、相続人が取得した生命保険年金のうち、相続税の課税対象とされた年金受給権の額に相当する部分については、所得税が非課税であると判示した。このことは巷間知られているところである。
さて、この最高裁判決は、原告(被控訴人・上告人)の夫が訴外生命相互会社との間で締結していた生命保険契約(被保険者及び契約者:夫、受取人:原告)に基づき、夫の死亡により原告が受け取った年金払保障特約年金について、所得税法9条1項16号(訴訟当時は15号)の適用により所得税が非課税と判断された事例であるが、この判決の考え方が、他の二重課税が問題とされる事案にまで適用されると解するべきかが議論されている。
近時、この点を直接に争う事案が散見されるところ、本稿では、そのうちの代表的な事案の一つである東京地裁平成25年6月20日判決(判例集未登載。以下「本件東京地裁判決」ともいう)を素材にして、この点につき検討を加えることとしたい。
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連載目次
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉
(※) タイトルをクリックするとご覧いただけます。
▷ホステス報酬事件
▷武富士事件
▷内縁の妻は配偶者控除の適用を受けられるか?
▷土地譲渡に係る所得税と相続税との二重課税問題
▷建替え建築は『新築』か『改築』か?
▷医療費控除の対象となる『医薬品』
▷法人税法22条2項の「取引」の意義
▷消費税法上の「事業」と所得税法上の「事業」
▷「海洋掘削装置」は所得税法上の「船舶」に当たるか?
▷公正処理基準の形成過程と税務通達
▷法人税法にいう「法人」概念
▷限られた税務行政資源と『税務に関するコーポレートガバナンス』
▷国会審議から税法条文を読み解く
▷税制調査会答申から租税法条文を読み解く
▷日本税理士会連合会の建議から租税法条文を読み解く
▷条文の「見出し」から租税法条文を読み解く
▷統計数値が租税法解釈に与える影響
▷社会通念から読み解く租税法
- 【第73回】 国語辞典から読み解く租税法(その1)
- 【第74回】 国語辞典から読み解く租税法(その2) 3/14公開
- 【第75回】 国語辞典から読み解く租税法(その3) 4/11公開
筆者紹介
酒井 克彦
(さかい・かつひこ)
法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学商学部教授として、学部のほか大学院やロースクール等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。一般社団法人ファルクラム http://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/【著書】
『「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
『「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第3版〕』(2015年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法』(2016年、大蔵財務協会)
『裁判例からみる法人税法〔2訂版〕』(2017年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ、Ⅱ』(2016年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年、第一法規)
その他書籍・論文多数
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