公開日: 2016/08/18 (掲載号:No.181)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第44回】「混沌とした租税回避論の再整理(その2)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第44回】

「混沌とした租税回避論の再整理(その2)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

(その1)はこちら

はじめに

Ⅰ 租税回避の定義の再確認

1 従来の租税回避の定義

2 租税回避事例 ―岩瀬事件―

3 租税回避の否認

Ⅱ 租税回避の再考

1 新しい租税軽減行為 ―りそな銀行事件―

2 「課税要件の充足を免れること」と「課税減免要件の充足を図ること」

従来の租税回避の通説的理解は、「課税要件の充足を免れて、税負担の軽減を図ること」とされてきたことは既に述べたとおりである。

そうであるとすれば、りそな銀行事件におけるX社は、課税要件の充足を免れるどころか、あえて要件の充足を図っているのであるから、従来の租税回避の定義によれば、X社の行為は「租税回避」ではないことになる。

加えて、りそな銀行事件において、最高裁が、本件取引を「制度を濫用するもの」と述べている部分にも着目しておきたい。
最高裁のこの判示については、あえて課税減免規定の要件を充足し租税負担の軽減を図る行為を租税法制度の濫用と捉え、そうした行為についても否認し得ることを示したものとの見解もあるが、この点は学説上今も争いがあるところである。

このように、「課税要件の充足を免れる」という従来の租税回避の定義を再考し、「課税減免要件の充足を図る」行為、いわば租税法制度の濫用的行為をどのように捉えるべきかが今日的な問題となっている。

3 中間概念としての租税回避

前回述べたとおり、「租税回避=課税要件の充足を免れること」という従来の定義によれば、租税回避である以上課税されないものと理解されることになる。

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はじめに

Ⅰ 租税回避の定義の再確認

1 従来の租税回避の定義

2 租税回避事例 ―岩瀬事件―

3 租税回避の否認

Ⅱ 租税回避の再考

1 新しい租税軽減行為 ―りそな銀行事件―

2 「課税要件の充足を免れること」と「課税減免要件の充足を図ること」

従来の租税回避の通説的理解は、「課税要件の充足を免れて、税負担の軽減を図ること」とされてきたことは既に述べたとおりである。

そうであるとすれば、りそな銀行事件におけるX社は、課税要件の充足を免れるどころか、あえて要件の充足を図っているのであるから、従来の租税回避の定義によれば、X社の行為は「租税回避」ではないことになる。

加えて、りそな銀行事件において、最高裁が、本件取引を「制度を濫用するもの」と述べている部分にも着目しておきたい。
最高裁のこの判示については、あえて課税減免規定の要件を充足し租税負担の軽減を図る行為を租税法制度の濫用と捉え、そうした行為についても否認し得ることを示したものとの見解もあるが、この点は学説上今も争いがあるところである。

このように、「課税要件の充足を免れる」という従来の租税回避の定義を再考し、「課税減免要件の充足を図る」行為、いわば租税法制度の濫用的行為をどのように捉えるべきかが今日的な問題となっている。

3 中間概念としての租税回避

前回述べたとおり、「租税回避=課税要件の充足を免れること」という従来の定義によれば、租税回避である以上課税されないものと理解されることになる。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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