公開日: 2022/04/14 (掲載号:No.465)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第106回】「節税義務が争点とされた事例(その9)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第106回】

「節税義務が争点とされた事例(その9)」

 

中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦

 

今回は、節税義務自体が争点とされたものではないが、税理士が変額保険を利用した節税シミュレーションを提案した、あるいは保険会社の勧誘に助力したとして、原告から不法行為責任を追及された事例を基に、税理士の責任論を考えてみたい。素材とする事案は、東京地裁平成8年3月26日判決(判時1576号77頁)及びその控訴審東京高裁平成12年9月11日判決(判時1724号48頁)である。

 

1 事案の概要

(1) 変額保険を用いた節税スキームの概要

本件は、変額保険を用いた節税スキームを巡る事案である。変額保険は、保険金額が特別勘定の資産の運用実績に基づいて増減する生命保険であり、被保険者が死亡するなどした場合には、基本保険金及び変動保険金が保険金として支払われる。本件保険契約においては、基本保険金の支払額(3億円)は保証されているが、変動保険金の額は、特別勘定の資産運用実績によって毎月その額が変動し、また、解約返戻金の額も、運用実績によって毎月変動することとなる。

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〈深読み◆租税法〉

【第106回】

「節税義務が争点とされた事例(その9)」

 

中央大学法科大学院教授・法学博士
酒井 克彦

 

今回は、節税義務自体が争点とされたものではないが、税理士が変額保険を利用した節税シミュレーションを提案した、あるいは保険会社の勧誘に助力したとして、原告から不法行為責任を追及された事例を基に、税理士の責任論を考えてみたい。素材とする事案は、東京地裁平成8年3月26日判決(判時1576号77頁)及びその控訴審東京高裁平成12年9月11日判決(判時1724号48頁)である。

 

1 事案の概要

(1) 変額保険を用いた節税スキームの概要

本件は、変額保険を用いた節税スキームを巡る事案である。変額保険は、保険金額が特別勘定の資産の運用実績に基づいて増減する生命保険であり、被保険者が死亡するなどした場合には、基本保険金及び変動保険金が保険金として支払われる。本件保険契約においては、基本保険金の支払額(3億円)は保証されているが、変動保険金の額は、特別勘定の資産運用実績によって毎月その額が変動し、また、解約返戻金の額も、運用実績によって毎月変動することとなる。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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