公開日: 2014/07/10 (掲載号:No.77)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第19回】「医療費控除の対象となる『医薬品』(その1)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第19回】

「医療費控除の対象となる『医薬品』(その1)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

はじめに

この連載では、これまで課税要件について述べてきたが、租税法律主義の下、租税法律関係においては文理解釈が優先されると解されている。その理由については、租税法が侵害規範であるからという説明によって整理されることもある。

もっとも、法律の規定にできるだけ忠実に文理解釈をするべきだとしても、条文に使用されている概念(用語)の意味が明らかでなければ文理解釈もままならない。その概念も租税法中に定義があるとか、文脈からその意味するところを明らかにできるのであれば、さしたる問題も起きないが、問題は定義規定のない概念の意味をいかに理解すべきかという点にある。

この点が、租税法の解釈を巡る重大な問題であり、また租税法における要件事実のうち、もっとも大きな論点となっているのである。

今回は、所得税法上の医療費控除にいう「医薬品」の意義を巡る問題を取り上げて考えてみたい。

 

Ⅰ 法令の規定及び通達の取扱いにみる「医薬品」

納税者が購入した自然医食品が、薬事法2条1項に規定される医薬品に該当しないものである場合、その自然医食品の購入は、医薬品の購入の対価として医療費控除の対象となるのであろうか。

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〈深読み◆租税法〉

【第19回】

「医療費控除の対象となる『医薬品』(その1)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

はじめに

この連載では、これまで課税要件について述べてきたが、租税法律主義の下、租税法律関係においては文理解釈が優先されると解されている。その理由については、租税法が侵害規範であるからという説明によって整理されることもある。

もっとも、法律の規定にできるだけ忠実に文理解釈をするべきだとしても、条文に使用されている概念(用語)の意味が明らかでなければ文理解釈もままならない。その概念も租税法中に定義があるとか、文脈からその意味するところを明らかにできるのであれば、さしたる問題も起きないが、問題は定義規定のない概念の意味をいかに理解すべきかという点にある。

この点が、租税法の解釈を巡る重大な問題であり、また租税法における要件事実のうち、もっとも大きな論点となっているのである。

今回は、所得税法上の医療費控除にいう「医薬品」の意義を巡る問題を取り上げて考えてみたい。

 

Ⅰ 法令の規定及び通達の取扱いにみる「医薬品」

納税者が購入した自然医食品が、薬事法2条1項に規定される医薬品に該当しないものである場合、その自然医食品の購入は、医薬品の購入の対価として医療費控除の対象となるのであろうか。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

◆最新テーマ

▷消費税の性質論

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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