公開日: 2014/09/11 (掲載号:No.85)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第21回】「医療費控除の対象となる『医薬品』(その3)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第21回】

「医療費控除の対象となる『医薬品』(その3)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

《(その1)はこちら

はじめに

Ⅰ 法令の規定及び通達の取扱いにみる「医薬品」

《(その2)はこちら

Ⅱ 借用概念と一般概念

Ⅲ 東洋医学と「医薬品」

Ⅳ 「食品」か「医薬品」か

Ⅴ 公法か私法か

前回述べたとおり、課税実務は、所得税法73条2項にいう「医薬品」が薬事法からの借用概念であって、かかる「医薬品」が薬事法に示されているものに限るという点に厳格に従っているのである。

そこで関心を寄せるべきは、薬事法が公法であるという点である。この点については、本連載、第16回第18回(「建替え建築は『新築』か『改築』か?―住宅借入金等特別控除と借用概念―」)においても確認したとおり、公法から概念を借りるという見方については制約があったことを想起したい。

すなわち、公法は私法とは異なり、立法の趣旨・目的が行政政策的あるいは警察的目的に限定されていることが多いことに鑑みれば、公法上の概念の理解も自ずとその立法趣旨・目的の制約を受けることになると思われるという点である。そもそも、借用概念論が前提としているのは、やはり私法であるということを考えるべきであろう。

さて、薬事法は公法である。

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酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第21回】

「医療費控除の対象となる『医薬品』(その3)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

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はじめに

Ⅰ 法令の規定及び通達の取扱いにみる「医薬品」

《(その2)はこちら

Ⅱ 借用概念と一般概念

Ⅲ 東洋医学と「医薬品」

Ⅳ 「食品」か「医薬品」か

Ⅴ 公法か私法か

前回述べたとおり、課税実務は、所得税法73条2項にいう「医薬品」が薬事法からの借用概念であって、かかる「医薬品」が薬事法に示されているものに限るという点に厳格に従っているのである。

そこで関心を寄せるべきは、薬事法が公法であるという点である。この点については、本連載、第16回第18回(「建替え建築は『新築』か『改築』か?―住宅借入金等特別控除と借用概念―」)においても確認したとおり、公法から概念を借りるという見方については制約があったことを想起したい。

すなわち、公法は私法とは異なり、立法の趣旨・目的が行政政策的あるいは警察的目的に限定されていることが多いことに鑑みれば、公法上の概念の理解も自ずとその立法趣旨・目的の制約を受けることになると思われるという点である。そもそも、借用概念論が前提としているのは、やはり私法であるということを考えるべきであろう。

さて、薬事法は公法である。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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