酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第25回】
「消費税法上の「事業」と所得税法上の「事業」(その1)」
~租税法内部における同一概念の解釈~
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
Ⅰ 事案の概要
本件は、X(原告・控訴人)が代表者を務めていた有限会社Aに対する建物の賃貸は消費税法上の「事業」に当たらないとしてした消費税及び地方消費税の更正の請求について、税務署長Y(被告・被控訴人)が更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたことに対し、Xがその取消しを求めた事案である。
Xは、平成10年1月1日から同年12月31日までの課税期間(以下「本件課税期間」という)中、A社に対し、A社が工場等として使用するX所有の工場、倉庫及び事務所各1棟合計3棟の建物を、その敷地も含め月額15万円で賃貸していた(以下「本件賃貸」という)。
Ⅱ 争点
本件の争点は、本件賃貸が消費税法上の「事業」に当たるか否かである。
消費税法上、消費税は、「事業者」が行った課税資産の譲渡等に該当する場合に課されるものであることから、Xの行った本件賃貸が「事業」に該当しない限り課されないことになる。
そこで、Xは、本件賃貸のような小規模のものは消費税法上の「事業」には当たらないと主張したのである。その理由は、消費税法上の「事業」は所得税法上の「事業」と同じように、規模によって判断すべきであるというのであった。
これに対して、Yは、本件賃貸も消費税法上の「事業」に当たると主張した。Yは、消費税法上の「事業」と所得税法上の「事業」とは異なるというのである。
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