公開日: 2015/08/20 (掲載号:No.132)
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第32回】「租税法の解釈における厳格性(その2)」

筆者: 酒井 克彦

酒井克彦の

〈深読み◆租税法〉

【第32回】

「租税法の解釈における厳格性(その2)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

《(その1)はこちら

はじめに

1 厳格な解釈の要請

(1) 厳格な解釈が要請される理由

(2) 租税法が財産権の侵害規範であるため

(3) 予測可能性を担保するため

(4) 行政裁量の余地を否定し、恣意的な課税を防止する必要があるため

(5) 自己に都合のよい解釈を許容せず、公平な課税を実現するため

 

2 租税法にみる財産権の侵害規範性

前述のとおり、租税法律主義とは、国民の財産権の絶対に対する国家の課税権による侵害を、国民の意思たる法律によってのみ制限し得るとする原則である。

憲法84条

あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

租税の賦課徴収に関する実体的手続的規定はすべて国民の代表者で構成されている議会で制定する法律によって定められなければならず、法律の定める要件と手続によってのみ国家は租税を賦課徴収することができる。これは、上記のとおり、憲法の要請するところである。

換言すると、課税範囲を法律によって明らかにすることにより、その範囲内においては国家の課税権行使が適法化されることになる。

また、これを国民の側からいうと、かかる範囲を超えては租税を賦課徴収されない、すなわち財産権を侵害されないということになるであろう。

この点につき、退職慰労金がみなし相続財産に含まれるか否かが争点となった事例において、大阪地裁昭和37年2月16日判決(民集26巻10号2030頁)は、次のように示す。

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【第32回】

「租税法の解釈における厳格性(その2)」

 

中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦

 

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はじめに

1 厳格な解釈の要請

(1) 厳格な解釈が要請される理由

(2) 租税法が財産権の侵害規範であるため

(3) 予測可能性を担保するため

(4) 行政裁量の余地を否定し、恣意的な課税を防止する必要があるため

(5) 自己に都合のよい解釈を許容せず、公平な課税を実現するため

 

2 租税法にみる財産権の侵害規範性

前述のとおり、租税法律主義とは、国民の財産権の絶対に対する国家の課税権による侵害を、国民の意思たる法律によってのみ制限し得るとする原則である。

憲法84条

あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

租税の賦課徴収に関する実体的手続的規定はすべて国民の代表者で構成されている議会で制定する法律によって定められなければならず、法律の定める要件と手続によってのみ国家は租税を賦課徴収することができる。これは、上記のとおり、憲法の要請するところである。

換言すると、課税範囲を法律によって明らかにすることにより、その範囲内においては国家の課税権行使が適法化されることになる。

また、これを国民の側からいうと、かかる範囲を超えては租税を賦課徴収されない、すなわち財産権を侵害されないということになるであろう。

この点につき、退職慰労金がみなし相続財産に含まれるか否かが争点となった事例において、大阪地裁昭和37年2月16日判決(民集26巻10号2030頁)は、次のように示す。

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連載目次

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉

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筆者紹介

酒井 克彦

(さかい・かつひこ)

法学博士(中央大学)。
国税庁等での勤務を経て、現在、中央大学法科大学院教授として、法科大学院のほか税務大学校等でも教鞭をとる。
一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。

一般社団法人ファルクラム https://fulcrumtax.net/
一般社団法人アコード租税総合研究所 http://accordtax.net/

【著書】
「正当な理由」をめぐる認定判断と税務解釈―判断に迷う《加算税免除規定》の解釈』(2015年、清文社)
「相当性」をめぐる認定判断と税務解釈―借地権課税における「相当の地代」を主たる論点として』(2013年、清文社)
『スタートアップ租税法〔第4版〕』(2021年)、『クローズアップ保険税務』(2016年)その他5冊のアップシリーズ(財経詳報社)
『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(2021年)、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』(2019年)、『裁判例からみる税務調査』(2020年)、『裁判例からみる保険税務』(2021年、大蔵財務協会)
『レクチャー租税法解釈入門』(2015年、弘文堂)
『プログレッシブ税務会計論Ⅰ〔第2版〕、Ⅱ〔第2版〕、Ⅲ、Ⅳ』(Ⅰ、Ⅱ 2018年、Ⅲ 2019年、Ⅳ 2020年、中央経済社)
『アクセス税務通達の読み方』(2016年)、『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント -法人税裁判事例精選20』(2017年)、『同 -所得税裁判事例精選20』(2018年)、『同-相続税裁判事例精選20』(2019年、第一法規)
『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(2019年)、その他5冊のキャッチアップシリーズ(ぎょうせい)
その他書籍・論文多数

 

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