酒井克彦の
〈深読み◆租税法〉
【第36回】
「公正処理基準の形成過程と税務通達(その3)」
中央大学商学部教授・法学博士
酒井 克彦
《(その1)はこちら》
Ⅰ 問題点の所在
Ⅱ 税務通達と公正処理基準
1 租税訴訟にみられる見解
2 公正処理基準と商法(会社法)
《(その2)はこちら》
Ⅲ 通達における「課税上の弊害」要件
1 法人税基本通達14-1-2と公正処理基準
2 「課税上の弊害」
「公正処理基準の形成過程と税務通達」の議論の締め括りとして、最後に、これまでの議論の延長線上にあると思われる判決を紹介しておくこととしよう。
Ⅳ 東京地裁平成27年2月26日判決(判例集未登載)
1 事案の概要
X社(原告)は、創業者である乙が代表取締役を辞任して非常勤取締役となったこと(以下「本件分掌変更」という。)に伴い、乙に対する退職慰労金として2億5,000万円(以下「本件退職慰労金」という。)を支給することを決定した。
X社は、本件退職慰労金を分割支給することとし、乙に対し、平成19年8月に7,500万円(以下「本件第一金員」という。)、平成20年8月に1億2,500万円(以下「本件第二金員」という。)をそれぞれ支払った。
X社は、かかる金員が退職給与に該当することを前提として、本件第一金員につき平成19年8月期(平成18年9月1日~平成19年8月31日)、本件第二金員につき平成20年8月期(平成19年9月1日~平成20年8月30日)の損金の額にそれぞれ算入して確定申告をした。
これに対して、処分行政庁は、本件第二金員は退職給与に該当せず損金の額に算入することはできないとして、法人税更正処分等(以下「本件更正処分」という。)を行った。
本件は、X社が、処分行政庁の所属する国Y(被告)を相手どり、本件更正処分等の取消しを求めた事案である。
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